第162回国会 参議院 憲法調査会 第3号 2005年02月25日
○会長(関谷勝嗣君) ただいまから憲法調査会を開会いたします。
日本国憲法に関する調査を議題といたします。
本日は、これまでの調査を踏まえ、日本国憲法について、委員相互間の意見交換を行います。
まず初めに、各会派からそれぞれ御意見をお述べいただきたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、御意見のある方は順次御発言を願います。
(中略)
○会長(関谷勝嗣君) 富岡由紀夫君。
○富岡由紀夫君 私の意見を述べさせていただきます。
先ほど、議論の中で一部出てまいりましたけれども、私も憲法の中に財政規律の問題を盛り込むべきだと思っております。ただ、ちょっと先ほどの御意見と違うのは、数値目標も入れて検討してもいいんじゃないかというふうに思っております。
と申しますのも、今の財政状況は本当に厳しい状況だというのは皆さん共通した認識だというふうに思っております。ヨーロッパ、EUなんかでは、その財政規律の問題について非常に厳しい条件、目標を立てて今取り組んでおります。マーストリヒト条約なんかでは、各国の加盟国の債務残高の目標値を立ててやっております。具体的には、それぞれの国のGDPに対する債務比率を、債務残高の比率を六〇%にするという目標を立ててやっているのが今のEUの実態だということでございます。
一例でございますけれども、G7に加盟している各国の今の債務残高、国と地方、その国の債務残高の比率をOECDが二〇〇五年ベースで発表した数字がございます。それによりますと、イギリスは四四・九%、ドイツが六八・六%、フランスが七六・二%、EUの中ではイタリアがちょっとこれは高いんですが一一九・五%、そしてEUじゃないんですけれども、アメリカが六四・九%、カナダが六七・二%、これが各国のGDPに対するその国の債務残高の比率です。イタリアが一二〇%ぐらいでちょっと高いんですが、その他の国は大体四〇%台から七〇%台というのが今の各国の財政の状況でございます。これに対して、日本がどのぐらいかというと、一七〇%ということで、G7の中では極めて突出して財政状況が悪い国になっているというのが今の実態でございます。
この財政規律の問題がどうして憲法で考えなくちゃいけないか。私は、これはもう皆さん釈迦に説法でございますけれども、国民の皆さんにも是非理解していただきたいと思うんですが、これはやっぱり最終的には増税という形で国民の負担に必ず返ってくる、そういう種類のものでございます。したがって、国民の所得とか財産が増税という形で奪われてしまうわけですから、これはやっぱり国として国民の生命と財産、その中の財産を守るということに極めて密接に関係してまいりますので、これは憲法の中でもうたっておくべきじゃないかというのが私の考えでございます。
あと、今、日本の中で特に問題になっているのが債務残高、これを解消するためには増税が避けて通れない。今までのツケを将来の国民に対して負担を強いるというのが今の現状でございますけれども、更にもっと恐ろしいのが、今国債をどんどんどんどん乱発しておりますけれども、これが引受手がいなくなってしまうんじゃないかということが、更に大きな懸念として私は抱いております。
国債を発行したけれどもだれも買ってくれない。じゃ、どうするんだ。最終的にはその利回りを上げるしかない。国債を消化するために金利を上げるということで、本来景気が回復して資金需要が上がってきてそれで金利が上がる金利上昇とは全く性質を異にする、国債を消化するために金利を上げる、利回りを上げる、長期金利を上げていく、そして短期金利にも影響してくる、こういったことは極めて経済にとって悪い影響を与える種類の金利上昇ではないかと私は思っております。インフレ、大きな悪いインフレにつながって、国民の皆さんが一生懸命将来に備えて蓄えていたとらの子の預金、これも本当に価値のないものに、価値が下がってしまう。結果として国民の財産を奪ってしまうことになるんじゃないかというふうに思っております。
国債の大量発行、消化、これをするために金利の上昇、インフレにつながるそういった懸念、そして、将来必ず増税という形で返ってくる。もう既に増税の議論もされておりますけれども、返ってくるというこういったことからも、国の財政規律についてはしっかりと憲法の中で私はうたうべきだというふうに思っております。
そして、次の点について申し上げたいと思います。
あっ、済みません。ちょっと今の点で補足させていただきますけれども、今年の十七年度の一般会計予算の中の利払い費というのが約八兆九千億円でございます。これを一日当たりで置きますと二百四十三億円、一時間当たりでは十億円、一分当たりでは千六百八十六万円というふうになります。私がいただいている発言時間は八分間でございますので、この八分間の中でも一億三千四百八十八万円の利息が新たに発生し、国民にこれは税金という形でいただくような形になってしまっているというのが、今の日本の置かれる財政状況の実態だということを併せて申し述べたいと思います。
そして、次の点、申し上げたいと思いますが、男女平等、女性の権利といったことが議論、もちろんされているんですけれども、この中で非常に気になっていることが私はございます。女性の社会進出、これは、外で働く女性は社会進出を果たしてすごく立派な人だと。じゃ、家庭の中で専業主婦をされている方はどうなのかというと、やや私は評価のされ方が低くされ過ぎているんじゃないかというのが非常に気になっております。外で働く人が能力を発揮して優れていると。一方、家庭内、家庭の中で家事や育児に専念している人はどうしても社会進出を果たしていない、補助的な仕事をしているんじゃないかといった認識が私は強過ぎるんじゃないかと思っております。
家事とか育児というのは補助的な仕事なのでしょうか。私は全く違うと思います。それぞれ掃除とか洗濯とか食事、子育て、保育、これらを専門にしている人たちや専門にしている会社に働いている女性は社会進出をちゃんと果たしているけれども、家庭の中でこれらのことを、同じことをやると、どうしてもそれが補助的仕事みたいな形で見られてしまうというのが今の風潮じゃないかと思います。私はこれは大変大きな問題だと思っております。家庭を守って子育てに専念する、これは本当に非常にすばらしいことだと私は思っております。家庭がしっかりとした教育を行う、家庭のぬくもりをしっかりと教える、家族の温かさ、愛情をしっかりとはぐくむ、これが今一番必要とされていることではないかと私は思っております。
よく何年か前までは、井戸端会議で主婦の方々がいろんな立ち話をして情報交換をしておりました。そういうことを通じて、地域のことや学校のことや世間話の中でお互いの理解が深まって、コミュニケーションが取れていたんだと思います。それがどんどんどんどん今少なくなっているんじゃないかというふうに思っています。家庭、そういった地域での情報の共有化、これは本当に防犯にも大きな効果を上げていたんだと思っています。家庭での教育、家族の大切さ、近所付き合いを通した地域間のコミュニケーション、地域活動を通した社会貢献に対する理解、そして、先ほど申しました情報を共有することによる防犯又は犯罪の抑止効果、こういったことを可能にするのはやはり専業主婦の存在が非常に大きなポイントを占めているんじゃないかというふうに私は思っております。
このことを述べさせていただきまして、私の意見とさせていただきます。
(略)