第162回国会 財政金融委員会 第5号
平成十七年三月二十二日(火曜日)

○委員長(浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 
  (中略)

○委員長(浅尾慶一郎君) 平成十七年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫と申します。よろしくお願いいたします。
 まず冒頭でございますけれども、先日発生しました福岡沖地震、大変な災害が発生いたしました。亡くなられた方もいらっしゃいますし、そして負傷された方も多数いらっしゃいます。昨年に引き続き、いろんな風水害、地震の災害、大変多発しております。これに対して、私、まず亡くなられた方に対して、そして遺族の方に対してお悔やみ申し上げますとともに、負傷者の方、被害に遭われた方に対しましては心よりお見舞いを申し上げたいというふうに思っております。
 そして、これに関連してでございますけれども、政府はこれに対しては当然のことながら十分な対処措置をとっていただけるというふうに考えておりますけれども、改めて政府の、財務大臣という立場でございますけれども、政府の方針について確認をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 大きな地震がまた発生しまして、今、富岡委員からお話もありましたように、お亡くなりになった方、また被害をお受けになった方、たくさんいらっしゃると。心からお見舞いを申し上げたいと思っております。
 それで、これに対しましては政府としても万全な策を講じなければならないわけでございますが、今のところまだ被害がどのぐらいのものなのかということを十分把握ができておりませんので、もう国土交通省等調査に行っていただいたりしているわけですけれども、まずその全体像と申しますか、そういうものを早期に把握することに努めなければならないと思っておりまして、またいろいろお教えをいただきたいと思っております。
○富岡由紀夫君 こういう災害について、ちょっと一言、私の私見でございますけれども、考え方をちょっと述べさせていただきたいと思います。
 新潟のときの被災者の方もそうですけれども、生活再建にかかわる国の対応というか、その件でございますけれども、個人の資産に係るものについては国が余り補償できないというような考え方、これはもう従来からの考え方なんですけれども、じゃ、どうしたらいいかというと、地震保険とか、自己責任においてやらなきゃいけないというのが今の日本の状況かと思うんですが、地震保険というのは、まあ確かにいいんですけれども、私、若干火災保険なんかと意味合いが違うんじゃないかというふうに思っております。
 地震保険というのは、本当に起こらないところは全く起こりませんし、起こらない期間も、起こる地域であっても全然起きないときはずっと起きないということで、なかなか、何というんですか、保険に対するイメージが、火災というのは自分で何か不始末をしてしまったらいつ起きるかも分かりませんけれども、地震というのはそういうたぐいのものじゃなくて、まさしく天災でございまして、保険というのはいまいちなじまないんじゃないかと私は思っているんですね。お金をずっと一生懸命それに対して掛ける人がどれだけいるかと。みんなが掛ければ保険金も下がってみんなが入りやすくなるんですけれども、なかなかそういうふうにはならないかと思うんですね。それをやるのが私は国の役目じゃないかというふうに思っているんです。広く薄く皆さんから税金をもらっていて、そして天災に、起きたときについては、それを、地震保険の役割を国が取るような、そういった考え方も検討してみてはいいのかと私は思っております。
 あくまでも私的財産を補償するという、そういうことだけにとらわれないで、みんなが広く薄く、税金という形で、地震保険みたいな形で、負担みたいな形で取って、国がその役割を果たすということもあってもいいんじゃないかというふうに私は思っております。国の役割というのは生命とそして国民の財産、国民の生命と財産を守ることでございますので、天災という本当に不慮の災難で失われた財産、そういったことに対しては十分な対策を国が取ってもいいんじゃないかと、私はこれは私見でございますけれども、思っているところでございます。
 これに対して、谷垣財務大臣のお考えをちょっと、御感想というか、お聞かせいただければというふうに思っております。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、今委員のおっしゃるように、先般来、昨年もいろんなことがございましたので、この問題に関しては、この国会、予算委員会でも相当議論が積み重ねられてきたところでございます。
 今更申し上げることもないんですが、さきの通常国会で支給限度額、被災者生活再建支援法ですね、支給限度額が百万から三百万に引き上げられて、それでその住宅を再建、補修する際に負担する経費の一部を支援する制度が設けられたというような改善等がなされたところでございますので、それを積極的に活用するというのが今の法制の下ではまず第一に申し上げるべきことかと思います。
 それで、更に公的支援を充実すべきだという考え方に対しては、一つは行政は公共サービスの回復にまず力を注ぐべきではないかという考え方が一方にあって、個人の住宅本体の、そういう考えからしますと個人の住宅本体の再建というのは少しまあ一歩後ろに下がったような考え方にそういう議論でいくとなるわけですね。
 それからもう一つは、今、ちょっと地震保険等に関しましては、これも評価はいろいろだと思いますが、一方で地震保険の加入とかあるいは住宅の耐震改修、個人の自助努力でやっておられる方もかなりあると。そういったこととのバランス、まずそういった方向を充実さすべきではないかという御議論もあるんだと思います。
 したがって、今後とも、まだ議論が完全に決着が付いたという状況ではないと思っておりますので、十分議論を積み重ねなきゃいけないと思っております。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。
 本題に入らせていただきたいと思います。
 今回の定率減税の縮減についてでございますけれども、今回の定率減税を縮減するに当たっては、当初入れたときより景気、経済の環境が向上してきたということで、それが一つの理由。もう一つは、あるべき税制を構築するに当たって、その前段階としてイレギュラーな今の税制をまず元の形に戻すというお話があったかと思うんですけれども、その中で、いろんな今までの御答弁の中で、見解の中で、住民税をフラット化して、応益負担というか、一〇%にして、それに対して所得税も変化させていくというようなお話があったかと思うんですけれども。
 で、改めて確認したいと思うんですけれども、住民税が、まあいろんな階層の人がいますけれども、五%の適用の人、この方が一〇%に上がります、一律になったとすると。そのとき所得税の階層の人は、一〇%の人と全然課税されない人がいるわけですね。一〇%の人は住民税が五%から一〇%に上がったんで、トータルの税負担をイコールにするためには一〇%から五%に下げるような趣旨のお話あったと思うんですけれども、そのほかに、さっき言いました所得税が課税されていない人、住民税が五%だけ課税されていた人が住民税が一〇%になってしまったと。で、所得税は課税されていなかった人がいます。その人の所得税についてはどういうふうに、もちろん、もうないわけでございますから、住民税だけ上げられてしまうわけでございますけれども、その点についてどういうお考えがお持ちなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) これもこの委員会で何度か申し上げていると思いますが、平成十八年度にいわゆる三位一体の税源移譲をやると。それは所得税から地方住民税へという形で所得課税の見直しという形でやりたいんだということを申し上げてきたところでございます。
 それで、この三位一体の関係で地方に税源移譲をしていくという関係で申し上げますと、今委員がおっしゃいましたように、地方税は応益負担という考え方がありますので、所得割の税率のフラット化をしていこうというのが基本的な考えでございます。
 それに対して所得税はどうするかというところは、これはまだ細部までの制度設計というのはできていないわけですが、基本的な考え方としては、税源移譲後においても所得再分配機能というものを適切に発揮させていくべきであろうと。そういうことで税率構造等を見直していくべきであるというのが基本方針ですが、更に申し上げると、この三位一体の関係で申し上げるならば、個々の納税者の負担の変動を極力避ける形で制度設計をしていこうということでございまして、先ほど申し上げたような税率構造等の見直しも個人住民税のフラット化ということに対応して行われるわけでございますが、細部はまだちょっと十分詰めておりませんし、いろいろやっていきますと難しい問題もあるんだろうとは思っておりますが、大きな方向は先ほど申し上げたような方向で整理をしていきたいと思っております。
○富岡由紀夫君 ということは、住民税が五%だけ課税されていて所得税課税されていない人のところについてはまだ方向性が決まってないというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) そこのところはまだ実は総務省とも十分詰めていないんですが、総務省で検討されていると承知しておりますが、要するに所得税非課税の人については住民税においてしかるべく対応するということになるのではないかと思っておりますが、これはまだこれからでございます。
○富岡由紀夫君 分かりました。
 ということは、住民税で課税されてない人にどうやって対応するかというのはちょっと難しいかと思うんですけれども、あと同様に、住民税が逆に一三%から一〇%に下がった人、これについては所得税の引上げ、三%分引上げというふうに考えてよろしいんでしょうか、基本的な考え方といたしまして。
○国務大臣(谷垣禎一君) まだ詰まってないのでお答えしにくいんですが、基本的には先ほど申し上げたような個々の、個人個人の、まあ大きなところでは全体のあれを変えないということでやっておりますので、今委員のおっしゃったような方向になるのではないかなと思っておりますが、まだ確定的な、こうであるとお答えをするところまでは行っておりません。
○富岡由紀夫君 そして、今のお話の関連なんですけれども、今回は所得税率、所得税の定率減税と併せて、当初これが導入されたときに、所得税の最高税率、そしてあと二番目の税率の引下げがされたと思うんですけれども、具体的には五〇%の税率の人が三七%、四〇%の人も三七%に引下げされたということでございますけれども、ここについては戻さないという御見解というか、今回の法案にかかってないわけですから、ということになるんですけれども、これについて、いろんなところで財務大臣は、何というんですか、その税率を下げることによって労働意欲を向上させて、そして経済の活性化に資するんだと、のもとにするんだというようなお話があったと思うんですけれども、そして本会議でも、我々の質問の方の中で、質問された中で、御返答いただいた中で、その労働意欲の低下については実証データがないというようなお話あったんだと思うんですけれども、これについて、私どもは、実証データがなくて何でそこの部分だけ戻さないでいいのか、放置しておいていいのかというところがやっぱり疑問として残るんですね。ですから、その辺のところをもう少しお詳しく教えていただきたいというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 恒久的減税の方針を表明して、それを実現されたのは小渕総理のときでございますが、そのときの、当時の小渕総理の所信表明の中では、個人所得課税については国民の意欲を引き出せるような税制を目指すと、そういうことで所得税と住民税を合わせた税率の最高水準を、当時は六五%であったと思うんですが、それを五〇%に引き下げるということを言われたわけでございますね。
 それで、現在、諸外国の所得課税の最高税率見ましても、これはまちまちでございますけれども、所得税と住民税を合わせて今五〇%、日本は五〇%ということでありますけれども、六五%というようなところは、すべての国もちろん承知しているわけではありませんが、個人所得課税の最高限としてはかなり高い水準になってきておりますので、これは国際的に見ても、確かに、今おっしゃるように、それについての実証データというものは特にあるわけではありませんけれども、国際比較等から、当時そういうような小渕総理が方針を出されまして、それは現在でも引き続き妥当するものではないのかなというふうに考えているわけでございます。
○富岡由紀夫君 私、いつもこういう税率の、何というんですか、変更について議論されるときに、今言ったように、国際的にどのぐらいのところがいいのかというところはまた議論ありますけれども、そういう意見が出てくるんですけれども、実際に、今、日本の中で、それぞれその税率、三七%とか三〇%がありますけれども、それぞれどのぐらいの人がいるのかという議論がよく落ちているんじゃないかと思っているんですね。
 やっぱり、最高税率その六五%というのは高いといったって、それが日本じゅうの人が六五%課税されてしまったんじゃそれはもう大きな問題ですけれども、ほとんどの国民というのはそういう税率とはどっちかというと余り無縁なところの人が多いわけですね。だから、私からしてみると、本当にどれだけの人がそういう適用、税率を適用されているのか、そういうのをちゃんと示した上で、国会の中でちゃんと議論して、みんなが納得いくような税の引上げ、引下げを行っていかないといけないんじゃないかというふうに思っております。
 今回の戻さないと言われた階層の人でございますけれども、今回の定率減税の引下げとともに、最高所得税、税率の引下げを行われたら五〇%から三七%に下がった人、そして四〇%から三七%に下がった人、これらの階層の人が何人いるのか、そしてこれらの人が全人口に占める割合はどのぐらいなのか、教えていただきたいというふうに思っております。
○政府参考人(福田進君) お答えいたします。
 所得税の最高税率三七%の適用を受けている人員につきましては、税務統計等を基に推計いたしまして、全体で二十二万人程度と見込んでおります。このうち、五〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員は八万人程度、四〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員は十四万人程度。全人口に占める割合、全人口一億二千七百六十八万人、これは平成十六年十月一日の推計でございますが、これで割り算をいたしますと〇・〇六%程度、五〇から三七%に引き下げた階層に属する人員の全人口に占める割合が〇・〇六%程度、四〇%から三七%に引き下げられた階層に属する人員につきましては全人口に占める割合が〇・一一%程度と見込んでいるところでございます。
○富岡由紀夫君 今のお話のように、最高税率を引き下げて労働意欲を向上させようというふうにお考え、ということで御答弁いただいたんですけれども、その恩恵を受けている人というのは、本当に、今言ったように五〇%から下げられた人が日本国民全体の〇・〇八%。わずかこれだけの人のために、これだけの人の労働意欲を向上させるために今回は戻さないと。そして、今、四〇から三七に引き下がった人も十四万人、〇・一一%。今回戻さない合計が二十二万人、〇・一七%ですか、の人のために、その人、日本全体のわずか〇・一七%の人のために今回戻さないというような政策なんですね。これが本当に日本にとっていいのかどうか。これは大多数の、ほかにもっと低所得の人も、理解を得るためにこういった内容をよく示して、どれだけの人がそういう効果を、恩恵を被っているのか、私は、国民全体に、納得して、ちゃんと内容を表示して示してもらわなくちゃいけないというふうに思っているんです。
 要は、労働意欲をそがないようにするために今回は戻さないんだといっても、それがみんな国民、自分たちにとってもプラスになるような錯覚を持っちゃう可能性があるわけですね。そうじゃなくて、それを受けているのは本当にごくごく一部の、わずか〇・一七%の人しか恩恵を被っていない。これを、あたかも日本国民全体が恩恵を被るような錯覚を持つようなそういう説明というか、そういうのはするべきじゃないと思うんですね。その点についてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、確かに数からいえば、委員のおっしゃったように、大して多くないじゃないかと、ごく一部の人たちだけじゃないかという御議論があるのは分かるわけでございます。ただ、これだけやはり個々人の経済活動も国際化してきたりなにかいたしますと、やっぱり諸外国との比較というようなことも私は必要ではないかと思うんですね。拠点をどっかに移してしまってというようなこともないわけではない。そういうことを全般的に考えてやっていく必要があるのではないかなと思っております。
○富岡由紀夫君 一律にその日本の税率を上げろというんじゃなくて、私はどうしてこういうことを申し上げているかといいますと、やっぱり所得格差を余りにも広げ過ぎちゃうと、やっぱりいろんな経済のゆがみというか、いろんなマイナスが露見してきてしまう、出てきてしまうというのが心配しているところでございます。税制というのは、日本のあるべき税制というのは、言ってみれば日本の社会をどういうふうにしていくかということにつながる非常に大きな意味を持ったものだと私は思ってるんですね。
 国際的に比較してどうだと、よく引き合いにされるのがアメリカでございますけれども、アメリカの税制が本当にいいのか悪いのか、これはやっぱりしっかりと日本の中で議論すべきだと思うんですね。日本は、アメリカが税率の階層を段階的に下げてきたら、まあどっちかというとフラット化してきたら日本もやってくると。アメリカが今度また戻してきたら日本はまた戻すんじゃないか。そういう後追いの税制をするんじゃなくて、やっぱり日本のあるべき社会というのはどういうものか、これをちゃんと考えた上で、それで、それをするために税制はどうしたらいいか考えていくべきだと思うんですね。
 谷垣財務大臣も所得の再分配機能、資産の再分配、いろんなことを、そういう考え方はお持ちだということは理解しているんですけれども、それをやっぱりその税制の中でしっかりと具現化していかないといけないんじゃないかというのが私の考えでございます。
 やっぱり日本の社会をどういう社会にしていくかということは非常に重要なことでございまして、例えば、アメリカ社会がよく引き合いに出されるんですけども、アメリカは確かに成功した人はすごくお金をたくさんもらって裕福な生活をします。だけど、一方で、全然所得がなくて日々の食事にもあり付けないような人もたくさんいると思うんですよね。その光のところばかり今、日本はよく、マスコミもそうですけれども、取り上げて議論されていますけれども、そうじゃない部分もたくさんあるんですね。そういったところを全体的にやっぱり見て、本当にどういう社会がいいのか議論する必要があると思っているんです。
 ちょっと前ですけれども、アメリカの社会、アメリカの社会をやるような、何ていうか、NHKのドキュメンタリードラマがあったんですけれども、ちょっとNHKだったかどうかはあれですけれども。例えば、ある企業が非常に売上げが、売上げというか、赤字体質で経営が非常に困窮していたという状況がございまして、不採算部門があるんですね。だけど、そこはなかなか処理できなくて、やっていたと。それで、あるときにそのCEOが替わって、急にもう大リストラをやったわけです。たしか千人ぐらいの工場を閉鎖して、千人の従業員を全部リストラしました。そうしたことによって、まあ、あといろんなこともやったんですけども、次の年、次の年かその後の年にすごく利益が出てきたんですね。そして、その利益が出たことによってそのCEOはどうしたかというと、たしか二十億ぐらいの報酬、年間の報酬を受け取ったわけです、成功報酬として、二十億円ぐらいの。
 で、それに対してそのNHK、じゃなくて、そのアメリカのドキュメンタリードラマのインタビュアーか何かが質問をしていたんですね。千人ぐらいの工場を閉鎖して、その人たちを解雇しましたと。千人の人ということは、家族を持っていれば二千人なのか三千人になるか四千人になるのか分かりませんけれども、それだけ後ろに多くの家族を抱えているわけです。千人以上の人たちを解雇して、あなたは会社を再建したと、その成功報酬で二十億円もらったということでございます。で、じゃその二十億円あればその千人の人の給料が払えるんじゃないですかということを質問していたんですね。それに対してあなたはどう思いますかというふうに言っていたんですけれども、そのときその経営者は、それは当然のことだと、自分たちはちゃんとそういうふうに会社の利益を上げたんだから、そんなの千人の人がカットされても、それに対して収益上げて成功報酬をもらって、それは当然自分の仕事の対価だということを言っていたんですけども。そのインタビュアーも同じ感想を持ってたんですけれども、これが本当に望ましい会社の在り方なのか、社会の在り方なのかということを訴えておりました。
 要するに、二十億円一人に富を集中させて、で、二千人分の、例えば年収二百万であれば、年収二百万であれば千人分の給料を払えるわけですよ、二十億あれば。そういう社会が本当に望ましい社会なのかどうかというのを私そのテレビを見て非常に痛切に思いました。日本もややそれに今近づきつつあるんじゃないか、後で法人税率の話も質問させていただきますけれども、そういう状況に近づきつつあるんじゃないかというふうに思っているんですね。余り、だから最高税率を戻さないことが悪いんじゃなくて、その課税される人が年収幾ら以上の人なのかと、そういうところを私は議論をしていくべきだと思っているんです。
 今、これ政府税制調査会さんの資料で、今の四〇%の税率になっている人の所得税の平均というか、基になる金額は、二千三百八十万円以上の人の所得の人が今四〇%の適用になっているという話なんですけれども、さっき言った、今まで三七じゃなくて四〇%だった人若しくは五〇%だった人が幾ら以上の所得を持っていたのか、もらっているのか、そういったところもやっぱり議論していくべきだと思うんですね。
 例えば、年収十億円以上もらっている人に対してやっぱり同じこの三七%のままで本当にいいのかと。そういう人たちがどんどんどんどん、所得をどんどんどんどん蓄積していって、さっき言ったように貧富の差がどんどんどんどん拡大してしまうというような状況にもなる可能性が十分あるわけですよね。
 ですから、今その二千三百万、四千万ぐらいの人がもっと税率を上げろというんじゃなくて、私が言っているのは、ちょっと幾らがいいかというのはまた議論ですけれども、年収が例えば一億以上とか二億以上、若しくは十億以上の人については税率をもっと上げて、そういった所得の、富の集中を解消するような考え方も持たないとおかしな社会になってしまうんじゃないかというふうに私は思っているんです。
 ですから、よく今回の、税率の改正のときもいつもそうですけれども、そういうあるべき社会、日本はどういうふうに税制であるべき社会に持っていきたいのか、その点をしっかりとやっぱりまずビジョンとして持って、その中で税制については議論をしていかないといけないというふうに思っているんですが、この今私のちょっと話したことについて、御感想というか御意見、もしありましたらお願いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 富岡委員がアメリカ社会の実情を引かれて御心配になったことは私はよく分かります。
 日本人は、これはいろんな考え方の方がもちろん日本人の中にもおるわけですけれども、まあ特定の名前を出しちゃいけませんが、ビル・ゲイツみたいな人が次から次へと出てくる、そういう方もいたって悪くはないと思いますが、そういうのが当たり前で、あと一方、その非常におっしゃったような影の部分もたくさんあるような社会を日本人が望んでいるわけでは私は決してないと思います。
 ただ、そこらはもう少し、今委員のおっしゃったお話の中で、実証的な議論が必要だというのは私はそのとおりだと思いまして、じゃ四〇%の最高税率だといって、じゃ、どのぐらいの所得の方かっていいますと、現実に四〇%の掛かり始めのところはそんなに目をむくほどの高額所得者というわけじゃないわけですね。
 そうしますと、日本の平均からしたらかなりいい水準ではあるけれども、まあ生涯働いてきてこのぐらいかなというようなところの方がやっておられるわけですから。確かにかつてのように相当所得再分配に意を用いて、私どもも当選したころは、当時はまだ美空ひばりという方がいらっしゃって、美空ひばりさんが、一回百万円でステージやられると、もうそのうちどれだけ税金で持っていかれちゃうから歌う意欲がなくなるというような議論をよくしておりましたけれども、当時から比べると随分そういう点は改まってきて、それはそれの必然性があったと思います。
 で、どこまで持っていったらいいかというのはまだまだ議論をしていく必要があると私は思っておりますが、でも、富岡さんのおっしゃったような、そんなアメリカのようなことを望んでいる日本人というのは私はほとんどいないと思いますんで、そこらはやっぱりよく目を光らせながらお互い議論をしていく必要があるなと思います。
○富岡由紀夫君 財務大臣がそういうお考えを持っていただけるというのは非常に心強く思っております。
 ちょっと関連して、是非今の所得税のところで、ちょっと事前に質問のお話してたんで一応お伺いさしていただきますけれども、相続税率のところもやっぱり同じように、最高税率というか、が引下げになっているんですね。これは、資産の再分配という意味で、やっぱり大きく日本の社会を考えていく上で重要な問題だと思うんですけれども、相続税率も、これもう平成十五年のときに最高税率七〇%、これは二十億、課税、相続税評価額ですか、二十億円以上の人が、超の人が五〇%に引き下げられました。で、この引き下げられた人が、この階層の人が、適用を受けた人が、年間、さっきのまた話ですが、どのぐらいの人がいるかというのをやっぱり押さえておく必要があると思うんですけれども、この階層の人が年間何人ぐらいいたのか、そしてその人口の割合は、その人たちの全人口に占める割合はどのぐらいなのか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(福田進君) 相続税の税率、仮に七〇%というふうに前提いたしまして、これを七〇%から五〇%に引き下げられたことになる階層に属する人員につきまして、これも税務統計を基に推計いたしますと、法定相続人ベースで年間三十人程度でございます。全人口に占める割合、一億で割るわけですので極めて僅少、あえて率求めますと〇・〇〇〇〇二%程度と見込まれます。
○富岡由紀夫君 ということなんですよね。わずか三十人の人しかいないと。逆に言うと、相続税評価額二十億円以上の人というのはまだまだごくごく一部の人なんですね。その人たちを優遇するためにこの最高、相続税の税率の引下げを行ったということになっているんです。これがさっき言ったあるべき日本の社会を目指す上で本当に必要だったことなのかどうか、これは私は十分議論する必要があると思うんですね。二十億円といったら、これ相続税評価額ですから、実際の金額はもっともっと上ですよね、一杯持っている資産は。こういう人たちを優遇させるようなことをしていくと、ますます富の集中というか、一部の偏りが非常に起こってしまうというのが私の危惧でございます。
 ですから、最高税率を、相続税の税率を引き下げたと、非常にこれはいいことだというようなお話がよく新聞なんかでも出ているんですけれども、実際には三十人しか年間その適用を受けている人がいないというところなんですね。三十人の人のために税制改正をしたということなんですね。このことを私はしっかりと国民の皆さんにも言っていただきたいというのが私の思いでございます。本当にだれのために税制改正を行っているのか、どれぐらいの所得を持っている人のためにやっているのか、どれぐらいの資産を持っている人のためにやっているのか、私は本当にこのことをしっかりと明らかにしていく必要があるというふうに思っております。
 ちょっとさっきの関連でございますけれども、この間、つい最近の新聞の記事で出ていたんですが、日本とアメリカの乳幼児の死亡率の比較がございまして、千人に対して、一歳になるまでの間に幼児が死んでしまう確率が出ていたんですけれども、日本の場合は千人のうち二・五人ぐらいでしたか、それに対してアメリカはその倍ぐらいの五・何人死んでしまうという数字が出ていたんですね。
 これはなぜかと。日本とアメリカで何でこんなに乳幼児の死亡率が違うのかというふうに出ていまして、その新聞の記事によりますと、これは医療サービスの違いだそうなんです。アメリカというのは日本と違いまして皆保険制度がない。お金のある人は民間の非常にサービスの受けられる、高度なサービス、医療サービスを受けられる保険に入ることができますけれども、お金のない人は保険に入ることができない、医療サービスを受けられない状況らしいんですね。そういうことが大きく影響しているんじゃないだろうかというふうに新聞の中では分析されておりました。
 これもやっぱり、だから、さっきの光の面と影の面でございますけれども、やはりこの影の面をしっかりと見て、今の相続税率の適用人員、年間その最高税率三十人しかいない、その人たちだけを優遇するんじゃなくて、その他大勢の人に、それだけのお金があれば、さっきの会社のCEOの報酬じゃないですけれども、何十倍、何百倍の人の生活を補うことができるわけです。ですから、そういったことも考えて、社会主義、共産主義のように全員同じようにするということじゃなくて、やっぱり労働意欲が必要ですから、成功したら、一生懸命働いたら年収何千万、もしかしたら何億ぐらいまではいいのかもしれませんけれども、その何十億というところの人だけを優遇するような政策というのは私は見直すべきだというふうに思っております。
 ちょっと今の税率についてはこのぐらいにさしていただきますけれども、次に、同じように法人税率、これも引下げが行われまして、今回はそのままだということでございますけれども、その中で、なぜそれをやらないかというお話がございましたけれども、これは国際競争力を企業に付けさせるためだとか、いろんなお話ありました。そして、今の日本の景気の、経済の状況についても、どういう状況かといういろんな議論の中で、企業収益もかなり上がってきたんじゃないかという議論がこれは頻繁にされております。
 例えば、衆議院の財務金融委員会で谷垣財務大臣は、景気が上がってきたという、何というんですか、実証データとして日銀の短観のデータを引き合いに出されたことがございますけれども、この日銀の短観を踏まえて、谷垣財務大臣の景気に対する見方、これをいま一度、ちょっと簡単で結構でございますので、御確認させていただければというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) しょっちゅういろんなデータが出ますんで、今の日銀短観の数字がぽんぽんと頭に入っているわけではないんだと思いますが、ごくかいつまんで申し上げれば、これを入れた当時の経済動向はやはり非常に悪くて、底の抜けるようなおそれを多くの方が持っておられたと思いますが、その点は不良債権処理やあるいはそれと車の両輪である産業再生みたいなのもかなり進んできましたし、企業にとってはいわゆる三つの過剰と言われたようなものがほぼ乗り越えつつある状況だろうというふうに私は思っております。
 それで、皆共通してやはり心配しておりましたことは、それが個人消費にはなかなか、企業業績は良くなってきても個人消費には結び付かないではないかとか、あるいは失業率等々も、一時に比べますと失業率も戻ってまいりましたけれども、若年者雇用はどうなんだとか、ニートとかそういう問題があるではないかと、雇用構造も本当に良くなってはないんではないかというような心配がございましたけれども、まだ確定的とは言えないとは思いますが、そういうニートとかあるいはフリーターみたいなのに頼るといいますか、不正規雇用に頼るような構造もようやく、何というか、下げ止まりになってまいりましたんで、私は日銀短観等を見ましても企業業績等は比較的今堅調だと思いますんで、全体としてはその個人に回っていく下地はできてきたんではないかなというふうに見ているわけでございます。
○富岡由紀夫君 さっきの所得税率のときのもそうなんですけれども、景気が良くなったという判断するときに、やっぱりどういうデータ、どういう調査対象、どういう母体を選ぶかというのは非常に重要な問題だと思うんですね。
 なぜこういうふうに思ったかといいますと、私、今年お正月、新年会で、地元の、群馬なんですけれども、商工会議所とか商工会とかいろんな新年会に出まして、そしていろんな企業のオーナーの方、経営者の方に、もう何百社の方にも会いまして、いろんなお話を伺いました。
 その中で、よく日銀のいろんな経済の見通しなんかいって、踊り場に来ているというような御説明がいろいろとされたんですけれども、その場でもされたんですけれども、実際にその経営者の方はどういう感想を持っていたか、私が話した限りでどういうふうに思っていたかというと、踊り場、踊り場といっても、全くそういう、踊り場というか、踊り場というのは上り調子の踊り場というところなんですけれども、全くそういう状況にはないと。踊っているのは、これはちょっと耳障りかもしれませんけれども、踊っているのは政府と日銀だけが踊っていて、一般の企業は非常にまだまだどん底の状況から脱し切れてないという感想がほとんどなんですね。九割方以上の状況なんです。
 これ、どうしてかなと私も思ってみたんですね。そうしたら、日銀が景況判断するときに、短観をするときにどういう母体を調査しているかというのをちょっと確認してみたんですね。そうすると、日本には法人というのが二百五十五万社あるそうなんですけれども、そのうちの資本金ベースで二千万以上の上位わずか二十二万社を調査対象としているらしいんですね。二十二万社のうち一万一千社ですか、を調査して、そしてその中で景気が上向くのか、下がっているのか、いいのかどうかという調査をしてるわけです。ですから、残りの、二十二万社引いた二百三十三万社、二百三十三万社ですか、の人たちは調査対象になってないんですね。
 そこは私非常に大きな問題だと思うんですね。だから、私は、いろいろなところ、いろんな経営者と話してみると、九割方の人はみんなそういう実感を持っていないというのは、やっぱりそのとおりだと思うんですよ。一割の人を対象にして調査して、その人、それは上位ですよ、もちろん上位の、そこの人たちがいいからということで日銀のある支店長なんかはいいんだ、いいんだと言っているんですけれども、だれもそれもう、全然もう何言っているんだという感じなんですね。それはやっぱり、そういう調査対象がそうだからだということが私分かったんです。
 ですから、そもそも景気判断というのは、国民がみんな納得して、国民が感想を持つのが私は本当の景気だと思うんですけれども、ただ、政府としてはいろんな経済政策、財政政策を行う上で景気判断を発表しないといけないんですけれども、そのときにやっぱり調査対象というのも、やっぱりそういう母体をよく考えた上で発表しないと非常におかしなことになっちゃうんじゃないかというふうに思っております。
 日銀が調査している資本金二千万円以上の企業というのは本当に、地元で一般の地域経済からすると大企業です。本当の一部の、わずか上位一割の大企業なんです。大企業だけの感想を聞いて景気判断をするのは非常におかしなことになってしまうんじゃないかというのが私の思いでございます。
 こういうことについて、是非、こういう、何かいろんな景気判断するときにそういった一部の、いろんな調査データはありますけれども、全体観をやっぱり見ていくような調査対象にしていかないと、それだけが先行、独り歩きしてしまって誤った方向に導く可能性があるんで、国民の感情からも乖離したものになってしまうんで、そういったところを、是非、調査対象、その母集団、それをちゃんとしっかりと改めるというか、考えた上でそれぞれの判断に必要なそういうデータ、調査を行っていただきたい、そしてそれを引用していただきたいというのが私の意見でございます。
 是非、ちょっとこれについて御意見というか、御感想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに、日銀短観等の大企業、中堅企業、中小企業と、こういうことでいろんな数字が出てまいりますけれども、そこでいう中小企業というのは、私も京都の北部の日本海側の方を選挙区にしておりますので、あそこでいう中小企業に当てはまるのは、私の選挙区でいえばもう輝くような優良企業ということになりますので、本当に、こういう言葉がいいかどうか分からないけれども、零細なところまでその調査が行き届いているのかどうかというのはあれだけでは分からない面があるかもしれないなと思っております。ですから、それぞれの調査の、何というんでしょうか、射程距離といいますか、妥当する範囲というのもよくよく吟味して使わなきゃならないだろうと思います。
 他方、私、まあ二十数年国会でやっておりましてもう一つ感じておりますことは、やっぱり構造不況業種みたいな、やっぱりあるわけですね。私の、多分委員の御地元もそうだと思いますが、私のところは絹織物なんかやっておりましたので、こういうようなところは構造不況業種で、いいというときはまずめったにないわけなんですね。それに限らず、いろいろ話を聞いておりますと、本当に苦しいときは何かいろんなことを言って私のところに見えるわけです、もうこれじゃ何ともならぬと。しばらく来ないなと思っていると、その間は割合何とか、すごく良くなっているわけじゃないんですけれども、まあ何とかやっているときは余り私どものところにお見えにならないものですから、いいときも顔を出してよって、いいというのも聞かしてくださいよと言うんですが、そういういろんなその入ってくる情報というものをよくよくやっぱり吟味して、その情報の性格というものをよくつかまないと見通しは間違えるところがあるんだろうと思います。
 そういうのは、我々も、政府としてももう少し精度を高めるような努力、これは主として内閣府のお仕事だと思いますが、やる必要があるなと思います。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。
 今のお話で、法人税、法人が企業収益が良くなってきたということでお話伺っていたんですけれども、さっき言ったように、そういう母集団がどういうものかということを今改めてお伺いしたんですけれども。
 それを裏付ける資料というんじゃないですけれども、これも財務省さんの方でいただいた資料でございますけれども、法人の税、法人税を納めている法人の内訳という表が、いただいておりまして、これも見て私も驚いたんですけれども、さっきの日銀の一部のところを調べているのと相通ずるんですけれども、全体の法人が二百五十五万社ありまして、そしてその所得金額、法人所得を納めている企業、そのうちどれぐらいの企業が納めているかという話なんですけれども、この表にいきますと、所得が八百万円以上の中小法人、中小法人というのはこの場合は資本金が一億円以下というふうに規定されているんですけれども、その所得が八百万円以上の中小法人と、あと大法人、これは資本金が一億円超の法人全体で法人所得のどのぐらいを占めているかというデータなんですけれども、表なんですけれども、これを見て驚いたんですけれども、その両者合わして全体の法人所得金額の九六・七%を占めているんですね。
 その両者というのはどれぐらいの数があるかというと、そのさっき言った資本金一億円以下の中小企業のうち、所得八百万円以上の企業が二十万一千社、二十・一万社。そして大法人、これが資本金一億円以上ですけれども、一・六万社、一万六千社でございます。それぞれの全体の比率は七・九%と〇・六%です。要するに、上位、合計すると八・五%、上位八・五%の企業が法人所得の全体の九六・七%を占めているというようなデータを、これ財務省さんからいただいております。まさしく日銀のさっきの短観と同じようで、本当に上位わずか一割弱のところだけが全体の収益の、所得の九六%以上を占めているというような偏った今状況が、今の日本の経済の状況だというふうに思っているんでございます。
 もっと驚いたのは、まあそうなんです、当然なんですけれども、欠損法人が百七十五万八千社、全体の六九%、約七割、全体の七割の企業は欠損法人でございます。そして、わずか上位八・五%の企業が法人所得の全体の九六・七%を占めているというのが今の日本の状況なんですね。景気がいい、経済が回復した、そういうようなお話ありますけれども、これを見ても分かるように、ごくごく一部の企業だけが景気を回復した、経済のどん底からはい上がってきたというような状況が今の日本の状況だと思っております。
 ですから、いろんな税制改正等々のときに、こういったやっぱり実証データ、どれだけの企業が、本当にいい、いいと言っても、そういう抽象的な表現だけじゃなくて、本当に何社の人が、何人の人がそういう景気が良くなってきたのか、そういったことをしっかりと踏まえた上で私は判断すべきだというのが私の思いでございます。是非、このように勝ち組のところだけ、一部の、ごくごく一部の勝ち組のところだけを見てすべてのいろんな行政判断をするんじゃなくて、しっかりとやっぱり全体観を見てやっていただきたいというのが私の思いでございます。是非この点について、是非これからも考えて、重きを置いて運営をしていただきたいというのが私からのお願いでございます。
 そして、ちょっと、今の法人税率の話でございますけれども、これも三四・五%から三〇%に引き下げられまして、事業税率も一緒に引き下げられました。これを今回戻さないということでございますけれども、これについての理由というか、簡潔に、何回もいろいろ御説明いただいていると思いますので、簡潔に改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 済みません。今のはあれですね、ちょっと資料を、委員のお読みになったんであろう資料を一生懸命見ておりましてちょっと聞き漏らしたんですが、要するに、法人税率をかつて引き下げたけれども、それは元に戻さないということはなぜかというお問い掛けですね。
 これは、委員が先ほどもちょっとお触れになりましたけれども、言わば主たる考え方は、グローバル化や何かが進んできた、そういう中で国際的な整合性であるとか企業活動にゆがみの少ない中立的な税制は何かというようなことでやってきたわけですけれども、こういう一環として、平成十一年度、小渕内閣のときに、国際経済社会の構造変化に対応した税制改正の、言わばあるべき税制の先取りのつもりでやったわけでございますが、法人税率を引き下げた。当時、国税が三四・五%を三〇%に、それから国税、地方税を合わせた実効税率が四六・三六%を四〇・八七%に行ったということで、諸外国とのほぼ横並びの水準に持っていったということでございますので、これはこの言わばあるべき税制を先取りしたものと思われますので、これを元に戻すということは今考えていないわけでございます。ということでございます。
○富岡由紀夫君 今おっしゃられたように、これはちょっとさっきと観点また違うんですけれども、国際競争力を何か維持するというか、回復させるためというお話だったんですけれども、これもたしか平野議員から質問されたときに御返答をされて、中で、そんな国際競争力と言うけれども、ちょっと私も記憶が定かじゃないんですけれども、やっぱりその実証データというか、国際競争力がどれだけ上がってきたかというお問い掛けに対して、実証データみたいなのは余りないようなお話だったんですけれども、これについてちょっと改めて確認をさせていただきたいと思います。
○副大臣(上田勇君) 企業の国際競争力を判断するときには、これはいろんな指標がありますし、またそれぞれにいろんな要因があるのはもう御存じのとおりだというふうに思いますので、じゃ、法人税の減税が具体的にどれだけ国際競争力の向上に寄与したのかというと、なかなかこれは定量的に把握、そこだけを切り取って把握するというのは非常に難しい面がございます。
 ただ、この数年間の国際競争力、様々なデータがありますけれども、私ども企業全体の国際競争力というのはやっぱりこれ確実に向上しているんではないかというふうに考えておりまして、例えば幾つかデータを示させていただくと、OECDで取っている統計などもあります。これ、労働生産性について、〇四年、これは我が国の労働生産性が二〇〇四年に前年比で四%、これは主要な先進諸国、英米仏独、これをしのぐ成長率になっておりますし、これは、九八年、九九年当時は我が国はずっとそうした先進国に比べて低かったということから比べると、やはり国際競争力が向上しているんじゃないかということが言えるというふうに思いますし、また内閣府におけるアンケート調査などでも、三年前に比べて競争力が強まったとする回答が三二%に対して、競争力が低下したとする回答というのは二一%。これは企業の判断からしても、競争力、改善が見られるんではないか。あるいはROAなどを比較いたしましても、ここ一、二年上昇に転じているという意味からは国際競争力が改善しているということは言えるんではないかというふうに思っております。
 ただ、これが税制改正とどういうような形でリンクしていて、そのうちのどの部分が寄与しているのかというと、これはなかなかそこは定量的に把握しづらい部分があるということは御理解いただきたいというふうに思います。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。
 国際競争力付くことは、これはもう非常にいいことでございまして、問題は、国際競争力が付いて企業が収益をますます上げてくる、これはいいことなんですけれども、その収益がちゃんと国民全体に波及するかというところが最大の問題だと思うんですよね。国の企業とか一部の産業だけが生き残って、そこで働いている従業員とか、若しくは下請企業とか納入業者とか、そういったところが死んでしまったら全く本末転倒だと思うんですね。企業若しくは一部の産業だけが生き残って、国民がないがしろにされてしまうというようなことが絶対起こらないようにしないといけないのが政府の役割、国の役割だというふうに思っております。
 その中で、今の国際競争力を上げて企業収益を上げた企業の収益はどういうところに行っているのか、私ちょっとやや疑問に思うところがあります。名前は申し上げませんけれども、例えばある企業は、さっきのあれじゃ、アメリカの企業じゃないですけれども、工場を閉鎖して従業員をリストラして、そして今まで正社員だった人も給料を引き下げて、それだけじゃなくて、正社員だった人を派遣社員とかパート社員に切り替えたり、あと下請企業に対する発注価格を下げたり、あと部品とかいろんな材料の納入業者の単価を引き下げたり、そうすることによって利益を上げているわけですね。
 だから、周りの人はみんな、何というんですか、痛みを押し付けられているわけです。従業員は給料は下げられる若しくは解雇される、今まで正社員だったのがパート社員、派遣社員に切り替えられる、下請の発注価格、金額も下げられる、材料を納入しても部品納入しても単価を引き下げられる、このような苦しい目に遭っているのが日本の大多数の、一部の大企業を除いた企業だと思うんですね。
 そういった企業、一生懸命利益を上げて、そこに対して最高税率を引き下げてあげると、そしてその税引き後利益で何をするかというと、企業は内部留保をして翌年の設備投資に、いろんな将来の設備投資に備えたりとか、若しくは研究開発費に備えたり、いろいろ、あと自分の財務体質を強化して、企業体質を強化するためにやりますけれども。そうじゃなくて、やっぱりその税引き後利益の中で配当金というのを支払ったり、当然ですけれども、あと役員の賞与を支払ったりするわけでございますけれども、ある会社はそうやってリストラ、大リストラやって、企業、利益が出ました、法人税率も下がりました、で、その残った利益で配当を一杯増配しました、そして役員賞与も一杯やりましたというようなことでございまして、その恩恵を被っているのは一部の株主とか一部の役員というのが、今の日本の企業の中でそういうところが大分出てきているんじゃないかというように思っているんですね。
 これもあれですけれども、万が一その株主が、すごい最高収益を上げた株主、これが外国資本、これは別に、それがいいか悪いかは別ですけれども、その大企業の大株主が外国の企業であったと、そして経営者も外国人になってしまったといったときに、さっき言ったように配当金とか役員賞与、これがみんな言ってみれば国外に移転してしまうわけですよね。これについて私は何かちょっと釈然としないところがございます。
 一生懸命日本人が、リストラされて、そして単価引き下げられて働いて上げた収益が国外に移転してしまうというのが非常に私としては釈然としないところがあるんですけれども、この考え方はちょっとやや偏っているかもしれないんですけれども、こういった点について財務大臣はどういうふうに御感想をお持ちになられるのか、お伺いできればというふうに思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) まず最初に、企業業績、法人税なんかも安くして、競争力も付いて企業業績も上がっているけれども、それを一体どっちに持っていっているんだろうかと。例えばこの委員会の御議論でもあるいは予算委員会の御議論でも所得分配率の問題等が度々議論になってまいりました。これは私どもが、分配が直接このぐらいが適当だと政府が言うべき筋合いのものではないと思いますけれども、是非ともそこのところはそれぞれ労使でよく議論をしていただいて、適切な水準に私はしていただきたいものだというふうに思っているわけでございます。それを超えて、今おっしゃったようなそういった経営者なり資本が海外から来て、結局のところ配当や何かといっても、国内に言わば蓄積をされる、留保されるという形が取らずに回ってしまうのはどうかと、これはなかなか難しいことだと、問題だと思いますね。
 私は、その大きな問題意識としては、今の日本の貯蓄と投資のバランスみたいのをどう見るかということもあるわけでございますけれども、かつては最大の投資をしていく主体であった企業が今は貯蓄の、一番大きく貯蓄を持っているようなことになり、我々政府の方は一番言わば金を、何というのか、吸い寄せることになり、個人の方は、最近はちょっと下げ止まりがあると思いますけれども、高齢化が進んできて貯蓄率というのは下がってきたような状況になってきているわけですね。
 これが今のままでいいのかどうかというのは我々もいろいろ問題意識を持っておりまして、国が余り資金を取っていくような体制というのはやっぱり良くないんじゃないかと。民間に資金が流れていって、それを活用していただくような体制をつくらなきゃいけないんじゃないかというのが構造改革の目的の一つであるというふうに考えているわけですが、大きく言えば、やっぱり人口が減っていく中で貯蓄率も、高齢化が進んでいく、貯蓄率も下がっていく、これから日本の発展を支える資本といいますか、そういうもの、貯蓄原資がどこにあるのかというのはこれから真剣に考えていかなければならない問題だろうと私は思っております。
 昨年、アメリカとの関係で租税条約なんかも三十年ぶりに改定した考え方の一つは、やはり投資を呼び込まないとこれから先に日本経済の伸長を、成長を支えていく原資がなくなってくるんではないかという考え方が背後にございまして、その考えをとことん出していけば、今の委員の御懸念とはまた逆方向の考え方になるわけですね。でも、他方、いろいろ組合等をつくって、言わば海外から、海外で組合をつくり、ファンドを作って、そういうところで投資していくような方々の構成しておられる方の税金というのはなかなかやりにくくなってきて、そこら辺りはメスを入れて、やっぱりきちっと、あんまりおかしなことがないようにしていかなきゃならないと。やはり、投資を世界から招かなければならないときに税制等をどうしていくかというようなことは、更にいろいろ議論をきちっと詰めていって、変な穴のないようにしていかなけりゃならないということはあるんだと思っております。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。
 ちょっと非常に難しい問題なんで、これは何がいいかというのはよく考えていかないと、あと日本の国益というか、そういう観点も踏まえて考えていかないといけないと思うんで、これはなかなか結論をすぐには見いだせないかと思うんですが、その辺も是非頭の片隅に考慮していただいて、いろんな政策の立案について当たっていただきたいというふうに思います。
 ちょっと次の質問に入らさせていただきます。予算の、公債特例に関連して、予算の件についてお伺いします。
 私、一期生なんですけれども、この特別会計というのが本当に、改めてよく分からないというのが感想でございます。この分厚い書類は、予算書、一杯いただいておりますけれども、これをどこをどう見たらいいのかというのがさっぱり分からないんですね。
 特別会計といっても、一般会計の方の予算から回っているものもあるし、特別の税源から行くのもあるし、いろんな負担金とか保険料とか、そういったもので入ってくるものあるんですけれども、やっぱりどれを取っても国民の大事な税金なりそういう保険料なり、そういったものが使われているわけでございます。ですから、それが本当に正しい使われ方をされているのかというのは、やっぱり国会の中で審議する中で我々議員もみんなが納得しておかないといけないと思うんですね。だけれども、これはどう見ても、納得しようにも分からないです、内容がね、中身の内容が。本当に正しいものに使われているのか、効率的なものに使われているのかというのが分からないんです。
 私は民間の企業にいましたけれども、例えば費用でも、本当にその費用が妥当なものかというのはやっぱり細目、細かいところまで見ないと分からないんですね。人件費っていったって、従業員が何人いて、一人当たりがどのぐらいなのかと。いろんな、視察費とか接待費ってありますけれども、それがどういう内容で使われているのか、金額だけ出ていたんじゃ分からないんですね。ですから、あと投資の中身、これもいろいろ、この間、グリーンピアですか、いろんな問題出てきましたけれども、それはもう本当に氷山の一角で、本当に使われる、必要なものに、投資対効果のちゃんとあるものにちゃんと使われたのかどうかということが判断のしようがないんですね。
 これを見て、例えば地元の有権者の方に特別会計についてどう思うって言われたと、言われて聞かれたとしても、私、答えようがないんですね。いいものか悪いものか、ちゃんと使われているのか使われていないのか、細目、これじゃ分からないと思うんですけれども、この私の考えというのは間違っているのかどうか、ちょっと財務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 確かに委員のおっしゃることは一つの問題点でございまして、我々も今委員のおっしゃったような疑問と申しますか、問題点に答えられるようにしようという取組をまだ始めたばかりでございます。
 それで、よく引かれることですが、一昨年だったと思いますが、国会審議の中で、私の前任者である塩川大臣が、相当特別会計の方では無駄がたくさんあるんじゃないかというような御議論に対して、一般会計、つまり母屋でおかゆをすすっているのに離れで子供たちがすき焼きを食っているようなことはけしからぬというようなせりふを吐かれまして、それで政府の財政審議会でも総ざらい的に特会を平成十五年の秋にやっていただいて答申を出していただきました。
 それを受けて、平成十六年度で打てる改革はし、そして平成十七年度でも、更に三十一ある特別会計のうち三分の一ぐらい深掘りしていただいたのを今度の平成十七年度にしておりますが、もう一つ、それと併せてやっていかなければならないのは、結局、全体像がなかなかつかみにくいということでございます。
 今、結局、国の会計、一般会計と特別会計がいろいろ出入りがあったり、金のやり取りがあったりして全体がどのぐらいになるのかというのはなかなか今までつかみにくいことがございまして、そういう辺りもできるだけ一覧性のある書類にしていって、この国会での御審議でもできるだけ見えるようにしていこうという取組を始めたばかりでございますし、それぞれの特会当たりの分析も相当進めてまいりましたけれども、できるだけそういった成果を分かりやすく還元して、国会での御議論に供していただくように今努めている最中でございます。
 それから、あわせまして、予算書そのものも見にくいという、一般会計そのものも見にくいという御批判がございます。
 要するに、この予算書というのは、ある政策をやるためにどういう予算が付いて、どういう人を付けてというふうな体系になっておりませんので、あっちこっちに、同じことをやるにしてもあっちこっちにばらばらになっていて見にくいと。どうしたらそういうものをもう一つ政策ごとに分かりやすくするのかというような宿題を今いただいておりまして、そういったそっちの方の作業も進めなければならないと思っておりますが、ちょっと具体的な検討状況、もしあれば事務方からも答弁をさせたいと思います。
○政府参考人(杉本和行君) 大臣から御答弁ございましたように、特別会計につきまして分かりやすい説明をどうするかということは私どもも重大な問題意識ではありまして、検討を進めているところでございます。
 一つは、ディスクロージャーとアカウンタビリティーをどうやって強化するかということでございますが、財政制度審議会等からも御答申をいただいておりまして、特別会計の財務書類につきまして、その発生主義など、いわゆる公会計の考え方を導入した財務諸表を公表するということにしてございまして、そういった作成指針を定めて、十一年度決算から公表させていただいております。
 それから、昨年の財政制度審議会におきましても、そのアカウンタビリティーの強化について提言をいただいておりまして、各特別会計の人件費、事務費等、それから資金の流れ、こういったものについて新しい資料を作らせていただきまして開示を進めさせていただいているところでございます。これにつきましては財務省のホームページにも掲載させていただいております。
 それから、公会計の関係で省庁別財務諸表という試みを始めているところでございまして、各省庁ごとに特別会計と一般会計と合わせたところでどのような姿になるかということを示させるような資料を今検討させていただいておりまして、いずれ公表させていただきたいと考えております。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。
 特別会計の中の財投特別会計についてお伺いしたいと思います。
 財投のいろんな改革行って、いろいろと今進展中だということで御説明はいただいておりますけれども、今まで直接、年金とか簡保とか、そういった資金が特殊法人等に流れていた部分を、そうじゃなくて、財投債の発行とか、若しくは財投機関債の発行で資金の流れを変えようというふうに計画されているところだと思うんですけれども、ただ、そのお金が財投債という形、若しくは財投機関債という形になっても、その特殊法人にお金が流れていくということは、全体的なそのお金の流れというのは変わっていないというふうに思うんですね。財投機関債は分かりませんけれども、財投債、これをやっぱり同じように、いろんな、年金とか郵貯とか、そういったところが引受けしている内容は変わりませんので、お金の流れは変わっていないということでございまして、ここはやっぱり変えていく必要があると。
 もし、それが本当に変わっているんだと言うんであれば、小泉総理大臣がおっしゃっているお金の流れを変えていくんだということが既にもう達成してしまうことになってしまうんで、されていることになってしまうんで、非常にここは矛盾点を抱えた問題だというふうに思っております。
 それで、ちょっと細かい話なんですけれども、財投債、これは国債でございますから、例えば財投融資がいろんな特殊法人等に流れていっていますので、それが例えば焦げ付きになった場合でも、国債ですからこれは国が一〇〇%保証することになりますよね。これは当然なんですけれども。ただ、この財投債を発行するに当たって、これは要するに、将来その焦げ付きが幾ら発生するか分からない、国の負担が幾ら発生するか分からないという非常に大切な問題でございますから、問題ですから、ちゃんと国会の中で十分議論しないといけないと思っているんですけれども、これについてもどういうふうにお考えなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。財投債の発行の考え方についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) ちょっとその前に、一般論になりますが、平成十三年に、さっきおっしゃいましたように、今までは郵貯等は全額財政投融資、資金運用部に預託するという仕組みを切り離しまして、必要なものは財投債ないし財投機関債で調達をすると。それから、それぞれのそういうマーケットの、マーケットで必要な資金を調達するようにして、そして、それぞれの財投機関も政策コスト分析等々のことをきちっとやって、全体の財務体質も明らかにし、その事業の内容も透明なものにしていこうということで進めてきておりまして、その結果、ピーク時には財投の額が四十兆を超えておりましたのが、現在はその四割ぐらいの十七兆強というところまで全体の姿は圧縮してまいりましたので、昔と資金の流れは変わらないという状況は、かなり、総額から見ましてもこれだけ圧縮してきたというのは、かなり財投を通しての資金の流れというのは変わってきたんではないかというふうに思っております。それで、もちろんまだ経過措置として財投債を直接引受け、郵貯等にしていただいている分は残っておりますが、これも平成十九年度までにすべて終わろうということでやっているところでございます。
 その上で、今おっしゃったように、結局、財投も国債でやって、財投債といえども国債だから、それを焦げ付いたときには、結局最後は国が穴埋めをしなければいけないんではないかという御疑問でございますけれども、そういうような事態に陥らないように、まず財投機関が業務運営の効率化を行っていかなきゃならないわけでございまして、十七年度の財投計画編成においては、すべての財投事業について総点検を行いまして、住宅金融公庫については民間で取り組んでいるような直接融資を廃止する、それから都市再生機構についてはニュータウン事業から撤退するというような見直しをやっておりまして、委員のおっしゃるような最後焦げ付いたということにならないように、今取組を強化しているところでございます。
○富岡由紀夫君 ちょっと私もあれなんですけれども、財投債の発行については毎年この予算審議書の中で限度枠というか、そういうのが規定されているんですよね。その点についてちょっと確認したいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 財投計画は、財政融資それから産業投資、政府保証から成っているわけですが、これらすべてについて予算総則に載っけまして、要するに予算の議決という形で国会の議決をいただいております。
○富岡由紀夫君 いや、これ、本当は我々も、それぞれ予算総則の中身を見てどれだけ本当に発行していいものか、さっき言った住宅金融公庫とか都市再生機構みたいな不良債権化、国民の最終的な税の負担でなるものが発生する可能性があるわけですから、その枠についてはちゃんとしっかりと議論をしないといけないと思うんですけれども、なかなかこれ見てもよく、細かいところを見ないとその金額は分かってこないんですね。だから、これはやっぱりさっきの改める、改善の御努力はされているということなんですけれども、もっとそこは分かりやすくしないといけないものだというふうに思っています。
 今言ったように、今、保証とか財投債の発行については予算審議書の中で入っているということだったんですけれども、財投機関債、これについてちょっとお伺いしたいんですけれども、財投機関債というものがあります。これは国が保証はしないものだ、要するに国債みたいに税金を投入しないものだというふうに考えてよろしいんですね。財投機関がそれぞれ独自に発行する債券であって、国は一切関知しないということで考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) これは財投機関において発行するものでございまして、政府保証がないと、こういうことで、政府保証のない、要するに財投機関の責任において発行される公募債券である、こういうことであります。
○富岡由紀夫君 じゃ、例えば発行機関が財投債を発行して、例えばその財投機関債がデフォルトになってしまったと、破綻してしまって返せなくなってしまったといったときに、国の税金を当てにして、国会の中で、一般予算から回すような、そういったことは絶対想定しなくていいということですね。財投機関債の、我々のこの国会の中でそのことは一切議論しないというふうに考えていいのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 要するに、財投債、財投機関債を発行している法人といいますか、公法人というんでしょうか、そういうものの破綻処理をどうしていくかということになるわけでございまして、国が金、税金をつぎ込んで、そこをうずめていくというような性格のものではないと、こういうふうに考えております。
○富岡由紀夫君 分かりました。
 財投機関債の発行についてはさっきの予算審議の中で諮ってないということだったものですから、そこをちょっと心配していたんです。諮っていないのに、どんどんどんどん財投機関が財投機関債を発行して、それで将来国民の税金にツケが回ってくるようなことになってしまったら大変なことになってしまいますから、今の御答弁ではそういったことはないということで理解してよろしいんですね。はい。
○国務大臣(谷垣禎一君) そうでございます。
○富岡由紀夫君 是非、さっきの税のときもそうなんですけれども、私は、さっき、今改善中だというお話だったんですけれども、やっぱり民間の企業とか、特に銀行には、資産の中身をよく査定して、開示して、そしてちゃんと分類して、処理すべきものは処理するし、引き当てを積むものは引き当てを積めというふうに指示しているわけでございますから、是非、財投機関、特殊法人等についても、その資産の中身についてはちゃんと明示をさせて、それぞれ資産の中身を、国民が安心できるような、納得いくような形でお示しいただけるような方向で開示の方をしていただきたいというふうに思っております。
 そして、さっき住宅金融公庫と都市再生機構の不良債権の中身についていろいろ手当てを取ったということなんですけれども、本当にこれだけなのかというところがやっぱりまだ疑問に思うところがございますので、こういった、特に大口の資金が国のそういった特別会計を通して行っているところについては、更なる明細の、不良債権の全貌というか、資産の中身の解明をお願いしたいというふうに思います。
 ちょっとそれについて、住宅金融公庫と都市再生機構だけじゃなくて、全体について、そういった中身、資産の中身を開示していただけるかどうか、お願いしたいと思います。
○政府参考人(杉本和行君) 特殊法人のディスクロージャーの問題にも絡むと思うんでございますが、特殊法人につきましても、平成十二年分の決算からでございますが、民間企業として活動しているという仮定の下に、最新の企業会計原則に準拠して作成した貸借対照表や損益計算書といった形で、行政コスト計算書と名付けられておりますが、そういったものが各法人より公表されているところでございます。それぞれの特殊法人におきましては、この行政コスト計算書で民間並みにそれぞれ資産等を計上させていただいているところでございまして、そういった形でディスクロージャーを進めてまいりたいと考えております。
 財務省といたしましても、特定の事業の遂行により当該法人の業務に支障がないようにという観点から、財政の健全性に配慮しながらいろんな査定を行っているところでございまして、こういった形で特殊法人の財務の健全性というものを確保していく必要があると考えております。
○富岡由紀夫君 ありがとうございます。是非、十分な納得いく解明を、明細、ディスクローズをお願いしたいと思います。
 次に、公債特例に関連して、いろんな、プライマリーバランスの見通しとか、いろいろと試算が出ておりますけれども、内閣府の構造改革と経済財政の中期展望二〇〇四年度改訂版についてお伺いしたいと思うんですが、このいただいた表によりますと、竹中大臣なんかは、これはもう十分何回も議論されておりますけれども、名目成長率が名目長期金利を上回るんだという御説明をいただいておりますけれども、この内閣府のつくった数字ですら、二〇一一年度、そして二〇一二年度については逆に名目長期金利の方が名目成長率を上回るような内容になっておりまして、言っていることと実際にこの計画で挙げている数字が逆転しているんですけれども、逆なことを言っているんですけれども、この点について内閣府さんからちょっと御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(大守隆君) 名目成長率と名目長期金利の関係は、一つのある理想的なといいますか、定常的な状態においてはほぼ等しいという議論もございますけれども、実際にはそのときの事情によって、一方が他方を上回ったり、また他方が一方を下回ったりというような関係があると思っております。
 今御指摘いただきましたように、この展望、参考試算におきましても、ある時期においては名目長期金利の方が下回って、それからその後上回るというような形になっております。
○富岡由紀夫君 これ、財務省さんの、財務省じゃなくて内閣府さんの計画であるんですけれども、ちょっと私、是非、財務省の考えるそのプライマリー赤字、それを黒字化させる、プライマリーバランスを黒字化させるということについて、具体的な方策について私ちょっと確認したいと思っているんですけれども、財務省さんのやつは黒字する二〇一〇年代初頭までの計画はお示しいただいてないと思うんですね。
 何でもそうなんですけれども、計画を立てたときにはやっぱり、できるかできないかは別として、ちゃんと目標数値を置いて、具体的にここを手を入れていくんだみたいな、やっぱりそういうものが、数値的なものがないとやっぱりなかなか実現できないと思うんですね。ただ単に精神論でやっていくんだと。これは地方も合わせてでございますけれども、やっぱり財務省としては、国単独でもプライマリーバランスの黒字化をどうやって目指していくんだと、そういったビジョンが国、国民に対して私は示す必要があると思うんですね。そこはやっぱり財務大臣のリーダーシップで、こういうふうに財務省としてはやっていくんだからみんな付いてきてくれというようなお考えをお示しいただくことが必要だと思うんですけれども、この点についてちょっと考え方をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) その辺の考え方につきましては、一つは、今おっしゃったような内閣府で「改革と展望」の参考資料として試算を出していただいておるわけですが、これは国と地方を合わせたものですが、いつも引かれますのは、どちらかというとベストプラクティスといいますか、一定の仮定はありますけれども、非常に調子良くといいますか、うまくいった場合の図式と、それから改革が余り進まない、進んでいかない場合の想定と、二つ今年は出していただいているわけですね。
 私どもの方は後年度試算というのを昔から出しておりまして、これはプライマリーバランスの改革のための手法というわけでは必ずしもないわけですが、余り努力をしないとこういうふうに、今の前提のままでいくとこうなるぞということをお示しして、ある程度の材料はお出しをしているつもりなんです。
 それで、要するに国と地方と一体というよりも、国だけの方を、つまり二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを回復と言っておりますが、内閣府のおつくりになったものでも、今、今年お出しになったのは二〇一二年に一応回復するということになっておりますが、それは国、地方を合わせてでありまして、国の方はまだバランスを取れないという姿になっているわけですね。
 それで、これ、どうして国と地方と一緒にしたものを出しているのかといいますと、国と地方の財政、片っ方だけきれいにしたら片っ方がじゃどうなっていくというものでもございませんで、例えばほかの状況を、条件を動かしませんと、仮に交付税をたくさん持っていけば地方の方は非常にいい数字になるけれども、国の方は悪い数字になるというような、全体を見ないとなかなかできないところがございますので、私は、国と地方の一体のものとしてプライマリーバランスを見直すようにというふうに示していただいてきた内閣府のこの試算は、それなりそういう意味があったんだろうというふうに思っております。
 それで、ですから、私どもも地方と要するに協力しながら何とかこの内閣府の試算に合わせてやっていきたいというのが当面の目標でございますが、それを超えて何が必要かということになってくると、むしろ国だけ、地方だけというよりも、国債残高全体の、公債というか、長期債務全体の管理をどうしていくかという問題が正面に出て来ざるを得ないだろうと思っております。
 それは、先ほど委員も指摘されましたように、長期金利と経済成長率の関係というような辺りが非常にシリアスな問題になってくるわけでございまして、経済財政諮問会議でも、要するにGDP全体に対して長期国債の残高のパーセントをどの程度抑えていくかとか、次の目標をそろそろつくるべきではないかという議論になってきておりますので、今、国だけのをつくれということよりも、むしろ二〇一〇年代初頭にできた後、どういうことを考えながらやっていかなきゃならないかというところを少しこれから詰めていかなければならないのかなと思っているところでございます。
○富岡由紀夫君 ちょっと限られた時間なので余り十分にできないんですけれども、やっぱり今、国債の、国の借金、地方の借金も含めてですね、財政問題、赤字の問題が私最大のこれからの問題だと思っています。
 そして、ちょっとまたお聞き苦しいことを言うかもしれませんけれども、財務省さんは非常に危機だ危機だという資料を一杯出しているんですね。政府もそれを認めているわけで、出しているということは認めているわけでございますからそうなんですけれども、この莫大な借金というのは、どうしてこんなになってしまったんだと。私は、やっぱり日本の、何というんですか、お役所というか、役人の中で一番いけないのはやっぱり責任を取らないというか、これはやっぱり政治の世界もそうだと思うんですね。責任をまず明確にした上で、そして改めていかないといけないと思うんですね。いつまでたっても責任を明確にしないで、どんどんどんどん、何というんですか、次から次へ、次のことばっかり考えますけれども、それはやっぱり改める必要があると思うんですよ。なぜこんなに国の借金が膨れてしまったんだ、国の借金が膨れてしまったんだと。これをまず正確に分析して責任をちゃんと明確にする必要があると思うんですね。
 ですから、あたかも何もしないで、今こんなになっちゃったんで大変だ大変だというような言い方ではなくて、今までの政策はこういうことでちょっと読み違えてしまったと、したがってその読み違えによってこういう結果になってしまったんだと、その点についてはまず素直に謝罪をして、そしてその上で、ついてはこのまま放置すると更に悪化してしまう、とんでもないことになってしまうということで国民に増税なりいろんな負担のそれぞれをお願いしないといけないと思うんですけれども、そういうことが、私、今の日本の国の中では欠けているんじゃないかというふうに思っております。
 是非、ちょっと改める、危機意識を共有化する意味で是非お伺いしたいと思うんですけれども、平成十七年度末で公債・借入金残高の種類別合計というのが、これは財務省さんの資料で出ております。八百八十七兆円ありますということでございますけれども、これは国だけの債務、国債・借入残高の債務だというふうに理解しているんですが、これに地方の債務を加えると、国全体で、今年度、十七年度末でどれぐらいになるのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
○副大臣(上田勇君) お答えいたします。
 今委員が、その前にちょっと今委員がお示しになった八百八十七兆円という数字でございますが、これは十七年度末におきます普通国債、それから財政融資資金特別会計の国債、いわゆる財投債ですね、それから借入金及び政府短期証券等の残高見込み、これが八百八十八兆円ということでございます。
 これは、申し上げましたのは、通常財務省で使っています数字とちょっと違うものですから、そういう前提でありますが、これに地方の長期債務残高の見込みであります二百五兆円を加えますと、これは単純に合計いたしますと約一千九十三兆円ということになります。
○富岡由紀夫君 一千九十三兆円、これは非常に恐ろしい数字だと思うんですね。ちょっともう時間がないんであれなんですけれども、一%金利が上昇すると、これ十兆円以上利払い費が負担が増加するという数字ですよね。三%だと三十兆円。今、国の予算が四十四兆円ですか、こんなの、あっという間に吹っ飛んでしまうような状況でございます。これはやっぱり、だから財政問題、この債務の問題、長期金利の問題、金利と債務というのは非常に密接に関係しております。どんどんどんどん国債を発行しようと思えば金利を上げていかないといけないような状況にもなってきますので、これは十分危機意識を私は持たないといけないと思っておりまして、これは次回の質問に継続させていただきますけれども、この点を主張させていただいて、私の質問とさせていただきます。
 本日はどうもありがとうございました。