166-参-財政金融委員会-12号 平成19年05月29日 平成十九年五月二十九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         家西  悟君     理 事                 沓掛 哲男君                 中川 雅治君                 野上浩太郎君                 大久保 勉君                 峰崎 直樹君     委 員                 秋元  司君                 岸  信夫君                 椎名 一保君                 末松 信介君                 田中 直紀君                 尾立 源幸君                 富岡由紀夫君                 広田  一君                 前田 武志君                 円 より子君                 西田 実仁君                 大門実紀史君    国務大臣        財務大臣     尾身 幸次君        国務大臣        (内閣府特命担        当大臣(金融)        )        山本 有二君    副大臣        総務副大臣    大野 松茂君        財務副大臣    富田 茂之君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    政府参考人        金融庁総務企画        局長       三國谷勝範君        金融庁監督局長  佐藤 隆文君        財務大臣官房長  杉本 和行君        財務大臣官房総        括審議官     勝 栄二郎君        財務省主計局次        長        松元  崇君        財務省関税局長  青山 幸恭君        財務省国際局長  篠原 尚之君        国税庁次長    加藤 治彦君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出、衆議院送付) ○政府参考人の出席要求に関する件 ○参考人の出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (「ふるさと納税」に関する件)  (法人企業の利益分配に関する件)  (独立行政法人に対する国の出資金に関する件)  (改正保険業法の適用除外に関する件)     ───────────── ○富岡由紀夫君 民主党・新緑風会の富岡由紀夫でございます。今日はよろしくお願いいたします。  まず冒頭、昨日の松岡農林水産大臣の大変ショッキングな訃報に接しまして、心より御冥福をお祈り申し上げたいと思っております。  それでは、質問に入らさせていただきたいと思います。  まず、景気、経済認識についてちょっと順番を変えて質問をさせていただきたいと思っております。  法人税を払っている今の、最近の、直近の企業というのは大体何社ぐらいあって、日本全体の企業のうちの何%ぐらい比率として占めているのか、教えていただきたい。それと、法人所得金額の支払額、上位一〇%ぐらいの企業で法人所得金額全体の何%ぐらいを占めているのか、教えていただきたいと思います。 ○政府参考人(加藤治彦君) お答え申し上げます。  まず、私ども国税庁の二〇〇五年分の調査によりますと、内国の普通法人、約二百五十八万社ございますが、利益計上法人はそのうち八十五万社、全体に占める割合は三二・九%でございます。  それから、もう一点先生のお尋ねで法人所得金額上位一〇%の企業で法人所得金額全体が何%を占めるかというお話でございますが、私どもの調査は各法人の所得階級別に取っておりますので、所得金額上位一〇%というような計数はございません。  ただ、若干近似でございますが、所得金額五千万以上の法人を足し合わせますと約六万五千社ございまして、構成比で言いますとその六万五千社は全体の利益計上法人の七・七%に該当します。その七・七%に対応する法人で所得金額は三十七兆九千八百億余、それで構成比では、所得金額の構成比は八九・四%、約九割を占めている、七・七%の法人で八九・四%の所得金額を出していると、こういう関係でございます。 ○富岡由紀夫君 黒字企業が三二・九ということは、赤字法人数というのは七割ぐらいということでよろしいんですか。 ○政府参考人(加藤治彦君) 恐縮でございます。  今三二・九%と申し上げましたのは利益計上法人で、逆数で欠損法人は六七・一%、百七十三万社ということでございます。 ○富岡由紀夫君 今お伺いして非常に驚いているんですけれども、わずか上位七・七%の企業で日本の法人所得金額の八九・四%、八九%、言わば九割ですね。七・数%の、七・七%の企業が九割の利益を計上しているということでございます。これは非常に偏った状況だというふうに私は思っております。今言ったように、七割の企業は、日本の景気は回復したと、若しくは少し順調に進み始めたということでいろんな調査報告出ておりますけれども、七割の企業はまだまだ赤字でございまして、そして、利益を上げているといってもわずか全体の七・七%しか上げていないという状況でございます。  これで本当に日本の景気は回復したと言えるのか、財務大臣、そして今日は日銀総裁にも来ていただいておりますので、それぞれ御所見をお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) 今の全体の、数は少ないわけでありますけれども、いわゆる大企業、九〇%近い法人所得を得ているということでございまして、そこまでの企業が全体として利益をかなり上げているということは、いわゆる景気がかなり良くなってきたことの証左であるというふうに考えております。企業部門全体といたしましては、いわゆる設備、雇用、債務の過剰、三つの過剰がほぼ解消し、収益の改善、設備投資の増加などが見られるわけでございます。中小企業の景況につきましても、大企業と比べますとまだ厳しさが見られますが、全体として見れば改善傾向にあると認識をしております。  家計部門につきまして、失業率、二〇〇二年の五・四%から、本日発表になりました四月の数字、三・八%の失業率へと改善をしているわけでございますし、有効求人倍率も一・〇五倍というふうに推移しておりまして、雇用情勢も改善をしております。個人消費の方も持ち直しの兆しが見られるわけでございまして、そういう中で、労働市場がタイトになることを通じて賃金の上昇が徐々に実現されてくるであろうと私ども期待をしているわけでございます。  世界経済全体については、原油価格の動向とかあるいは世界経済、アメリカなどの経済について留意が必要であると思いますが、国内の民間需要に支えられた景気回復は順調に続いていると認識しております。 ○参考人(福井俊彦君) 日本銀行におきましても、業種別の景気の動き、あるいはできる限り個々の企業の収益状況等につきましても情報を集めながら全体の景況判断いたしておりますが、マクロ経済全体の判断という形に最終的にまとめ上げますと、日本経済、引き続き緩やかに拡大しているという判断でございます。そして、先行きにつきましても、生産、所得、支出の好循環のメカニズムが維持される下で息の長い成長を続けていく可能性が高いと、こういうふうに判断いたしております。  なお、私どもも時々、国税庁の法人企業実態調査、拝見しております。委員御指摘の欠損法人の数が結構多いということは承知しておりますが、実態よく知りませんけれども、過去にさかのぼりましても、景気のいいときでもこの数は結構多いというのが過去の実績ではないかという気がしております。ちょっと正確でないかもしれません。 ○富岡由紀夫君 欠損法人が多くて景気がいいというのは、それはその表現の仕方というか観察の仕方が間違っているんじゃないかと私は思うんですけれども、まあそれはそれとして。  今、福井総裁おっしゃいましたけれども、日銀さんもいろんな企業に対して調査されているというふうにおっしゃっておりましたけれども、具体的にはどういう手法を取られて調査されていらっしゃるんですか。 ○参考人(福井俊彦君) 全体、何と申しますか、産業別あるいは企業別、大企業、中小企業等のウエート別に、バランスの取れた調査をするために短観という形で調査をしております。そのほかに、本店及び支店を通じまして、個々の地域のリーディング産業あるいはリーディング産業でなくても特色のある企業について景況感をつぶさに伺っております。 ○富岡由紀夫君 日銀短観というのは、よくいろんなレポートの中でも引用されて、日銀さんが政策決定をされるときに非常に重要な指標として使われているというのは承知しておりますが、今ちょっと是非教えていただきたいんですけれども、間違っているかどうか御確認いただきたいんですが、日銀の短観の調査対象基準というのがございまして、これは資本金が二千万円以上の企業を調査対象としているというふうに承知しております。  先ほど、国税庁さんは二百五十八万社と言っていましたけれども、そのうちの調査対象、二千万円以上の企業というと約二十二万社ぐらいしかないと。これ、比率にすると八・数%の企業だと、数だと思っております。非常に、二百五十数万社あるうちの二十万社、上位本当に一〇%未満のところだけを調査対象として、そして日銀短観のアンケートを取って、あと地方の支店も、リーディングカンパニーというふうに言っていましたけれども、これも多分同じ基準だと思いますが、そういったところだけを調査対象として日本全体の景気を推し測る、今の状況を推し測るというやり方は本当に適切なのかどうか、福井総裁、どうでしょうか。 ○参考人(福井俊彦君) 本店、支店におきます個々の企業調査は、必ずしも短観対象先ではございません。それも含みますけれども、より幅の広い企業に個々にお伺いしているデータも多いわけでございます。そのほかに、幅広い調査として、短観でカバーされていない領域については、中小企業金融公庫の調査、国民金融公庫の調査結果、十分拝借しながら景況感の判断に取り入れております。 ○富岡由紀夫君 支店、個々の支店で短観以外の企業から調査しているというんですけれども、具体的にどういった調査されていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。 ○参考人(福井俊彦君) 支店長あるいは調査担当の者が個々の企業を訪問して、いろいろ経営の状況についてお伺いしているということでございます。 ○富岡由紀夫君 短観の基準に満たない二千万円未満の企業に対してどのぐらいの数調査しているのか、分かれば教えていただきたいと思います。 ○参考人(福井俊彦君) 私どもの持っているリソースにも制約がございます。そんなに大きな数ではないと思いますが、少なくとも短観対象外の企業についてもお伺いしていると。数は今すぐに明確に分かりません。その数といいましても、相手を常に固定しているわけではありませんので、順次違った企業を訪問しているという感じであります。 ○富岡由紀夫君 そのウエート付けはどのぐらいで見ていらっしゃるんですか、日銀短観企業とそれ未満の調査、資本金の二千万円未満の企業の、対象のウエート付けはどういうふうに。 ○参考人(福井俊彦君) ウエートはありませんけれども、支店長会議のときに各地の支店長から詳細な報告があり、これは本店で、全国的な統計あるいは短観による判断を補うに十分な情報がそこに集められてくるということでございます。 ○富岡由紀夫君 是非ちょっと、じゃ今言ったような統計というか、判断に使われた、そういった各支店での、二千万円未満の状況について是非後で、後ほどでも結構でございますので、そのデータをちょうだいしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○参考人(福井俊彦君) 短観のようにまとまった統計という形になっていないということは今の私の説明でお分かりになられると思いますが、そういうものでよければ何がしかの情報は差し上げられると思います。 ○富岡由紀夫君 今お話しいただいたように、先ほど、日本全体の法人所得の九割はわずか上位七・七%の企業で計上しているといったところでございます。そして、今、日銀さんの短観で企業のいろんな業績を判断するときに、アンケートを出すのはわずか上位八・六%、八・数%のところだけを調査対象として推し測っていると。ですから、さっき、くしくも日銀総裁おっしゃいましたように、過去でも景気が良かったというふうに判断されているときでも多くの企業が赤字だったということがやっぱり生じてしまうんじゃないかなと私は思っております。景気がいい、いいというふうに言われても、私どもも地元の中小企業、地域の経済を見ると、決してそんなこと、みんなだれも思っていないというのが実態だと思います。  先ほど、峰崎先生からの質問にも関連するんですけれども、今大企業が利益を上げているやり方が私は非常に問題だというふうに思っております。財務省さんの資料でも、先ほどの何とかドーアさんの資料と全く同じような数字が出ております。二〇〇五年には、二〇〇一年度対比雇用者報酬は三%減っていると、しかしながら配当金は一七七%増えている、役員報酬も八八%増えていると、これは財務省さんのデータでもございます。これは非常に偏った利益計上の仕方じゃないかなと思っております。  会社の中でも、株主とか経営者が利益を一杯吸い上げていると、従業員はこき使われて利益を、何というか、収益を、給与を下げられている。これが、その会社だけじゃなくて、下請企業、中小企業との間でも全く同じことが行われているんじゃないかと私は思っております。大企業は価格決定権を持っていますから、仕事が欲しい下請企業は大企業に従わざるを得ないんですね。そうすると、いろんな下請の発注価格も単価を引き下げられたり、あと原料や材料の仕入価格、これも今たたかれにたたかれております。仕事を取らないと、毎日の仕事を回さないと従業員を中小企業は養っていくことができませんから、赤字覚悟で仕事を受注している、赤字覚悟で製品を納入している、これが実態ではないかと思います。今の日本全体に非常にこれが、非常に顕著にこの傾向が進んでおりまして、その結果が、わずか七・七%の企業が史上空前の利益を上げていると、全体の九割以上の利益を上げているという状況でございまして、これが本当に好ましい日本の社会の在り方なのかどうか、私は甚だ疑問であります。  こういった姿が美しい日本の姿と言えるのかどうか、福井総裁、御意見をお伺いしたいと思います。 ○参考人(福井俊彦君) 日本経済は、同時に、非常に厳しい国際経済競争の中で常に一歩先頭に立って進むと、これは日本経済が先々までも人々の幸せを確保していくためにどうしてもたどっていかなきゃいけない道と、その間に企業が様々な苦労があると、その相克の中で少しでもいい、バランスの取れた経済を実現していく、多くの人がそこに工夫を注ぐ必要があるということだと思います。 ○富岡由紀夫君 私がお伺いしているのは、大多数の国民の犠牲、大多数の中小企業の犠牲によって得られた一部大企業の最高収益、これが美しい姿、それによって得られた国際競争力が美しい日本の姿であると言えるのかどうかということをお伺いしておりまして、国際競争力、そういった形でのやられ方、在り方について、本当にこれが望ましい、美しい姿なのかどうかということを改めてちょっとお伺いしたいと思います。 ○参考人(福井俊彦君) グローバル化の中で、やはり日本がきちんとした位置付けを確保していくための多くの方の選択肢、そういう方向に向けられていることは現実、幾ら厳しくてもこれは現実の姿だというふうに思います。その中で、やはり現実に潜在成長能力を幾ばくか上回る安定的な成長軌道に今乗り、かつ、それをより確実なものにしていこうという段階にございます。  つぶさに見ておりますと、大企業だけでなくて、やはり少しずつ全国各地の中堅企業、中小企業にも好影響が波及しつつあるという状況でございます。これを着実に維持していくという姿が、マクロ経済に責任を持たしていただいております日本銀行としては、最も、何といいますか、将来の展望につながる経済運営の進め方ではないかというふうに考えております。 ○富岡由紀夫君 今私が問題提起させていただいているのは、その一部の企業が利益を上げるやり方だと私は思っているんですね。  昔は、私も銀行でいろいろと仕事させていただいて、いろんなグループ同士で、共存共栄という言葉がありまして、お互いグループ内で持ちつ持たれつやっていこうという意識が非常にあったというふうに思っておりますが、今はそのグループの系列も全く度外視して、それこそインターネットか何かで競争、オープンに入札させて、全く関係ない企業でも単価が安ければそこに発注してしまうというような非常にドライな仕事の契約が進んでいるというふうに理解しております。こういう姿が本当にいいのかと、私は非常に疑問に思っております。  先ごろフランスで選挙がございましたけれども、そのとき議論の一つとして取り上げられました、エアバスの親会社の元CEOが、リストラを一万人以上、自分たちの従業員を一万人以上リストラしているのにかかわらず、退職金として十三億円相当ぐらいを受けるということが問題になっておりました。従業員の首を切ってリストラをして、そして自分で十何億円も退職金をいただく、もらう、こういう形は望ましい姿なのか、フランスでも議論になったと思いますが、これに対して福井総裁はどう思いますか。それも国際競争、グローバル化の中で仕方ないことなんだ、当然のことだというふうにお考えでしょうか。 ○参考人(福井俊彦君) 私は、そういうことをいいとか悪いとか決め付ける立場にはございません。やはりそういったことは、社会の中の価値観をみんなでどういうふうに分かち持ってより良き社会をつくるかという国民全体の価値観のシェアの仕方でありますので、みんなで大いに議論して、そこのところは将来につながるいい価値観をシェアする方向で努力をするという以外に方法はないんじゃないかというふうに思います。  フランスにおきましても、選挙の過程でそういう議論が相当濃密に行われたということは委員御指摘のとおり私も承知いたしております。 ○富岡由紀夫君 私は、やっぱり今国民の議論の中でそういった価値観がよく理解されて議論されてないんじゃないかというふうに思っているんですね。景気が良くなった、一部の企業が良くなったことを受けて日本全体の景気が良くなったというような報道をされて、それで良かった良かったというふうに表面的に思っている人がたくさんもちろんいると思うんですけれども、しかしその裏側には今言ったような構造的な大きな問題があるということが本当にみんな理解した上で、今の在り方、グローバル化をいいというふうに私は理解しているとは到底思えておりません。  ですから、こういったことを国民の中にしっかりと明らかにして、本当にそういう姿が望ましい経済社会の在り方なのか、日本の社会の在り方なのか、私はしっかりとする議論があると思います。  今先ほどそういった問題、一部大企業が利益を上げる、それで一部大企業のうち株主そして経営者が莫大な収益を一点集中的に吸い上げる、これの原因はやはり私は、株主の権利が強くなり過ぎているということが大きな原因だと私は思っております。  特に、外国人投資家が日本に最近いろんな形で入ってきております。その中でヘッジファンド等々もあります。敵対的買収という形でそれが現れたり、知らない間に株式が買い上げられて、いつの間にか日本の企業と思ったのが外国人投資家、外国人の所有比率が五〇%を超える状況になってしまったとか、そういったところで、今それぞれ株式防衛対策も含めてそういった当該企業も右往左往しているといった状態だと思いますけれども、こういう在り方が本当に望ましい姿なのか、私は非常に疑問に思っております。株主の権利だけを主張すれば、短期的な収益を上げるためにリストラしなさいよと、そして収益を上げてそれを配当に回せと、株価を上げるためにリストラをどんどん遂行して下請のいじめをしなさいよと、従業員もどんどん給料を引き下げなさいよ、こういったことがもう外国人投資家は本当に面切って今言ってきております。  グローバルスタンダード、海外からの投資もどんどん促進しようということで政府もやっておりますけれども、これが野方図に進んでいくと、知らない間に日本人は非常に痛い目に遭って、一生懸命働いてもその収益が外国人投資家にみんな配当金として持っていかれてしまう。こういったことをやっぱり国益の観点からも私は考えないといけないんだと思います。  逆に、グローバルスタンダードの中で日本の企業も海外に行っているという議論もありますけれども、私は、それをアメリカとイギリスと同じようにそういうやり方をして、海外のところでそういった利益の搾取というか現地の従業員をこき使って搾取するやり方、これは私は決して美しい日本の国の在り方じゃないと思っております。国際競争力、グローバル化といっても、それがすべて正しいという前提で動くんではなくて、日本は何だかんだ言ってもまだ世界第二位の経済大国でございますから、本当に美しい経済活動というのはどういうものなのか、経済発展というものはどういうものなのか、企業の在り方はどういうものなのか、私は、提言していく立場を担ってもいいんじゃないかと私は思っております。  そういった意味で、この行き過ぎた、何というんですか、株主重視の在り方についてどう思いますか。今度、山本金融担当大臣にちょっと御意見をお伺いしたいと思いますが。 ○国務大臣(山本有二君) 先生の御指摘、重要であろうというように思っております。  グローバル化について肯定論、否定論、両論あることも存じ上げております。ただ、今グローバル化を否定することによるマーケットの縮小、それによる富の分配の、全体としての富のパイ自体が縮小することに対する懸念の方が私は今最も大事なことであろうと思っております。世界経済がグローバリズムの中で動いており、また市場規模も二〇〇六年におきます五十兆ドルあるわけでございまして、その意味における我が国の金融機能というのは一割に満たないところになってきておるわけでございます。  そうした中での先ほどの従業員給与の指摘でございました。先ほど申し上げましたように、給与はやはり企業を担う従業員の皆さんのものだという従業員所有説も企業の議論の中であるわけでございまして、その意味におきました場合に、株式配当のみに重点を置く企業の利益処分の在り方というものに対する警鐘はもっともなことだろうというように思っております。  他方、企業経営は個別でございます。その中におきます従業員給与の格差において、役員になろうというインセンティブ、向上心が働いて企業が繁栄するというような立場を取る人もおれば、また従業員が企業に対する嫌悪感や倦怠感、これによって企業活動の能率を悪くして、やがて企業が倒産するということにもつながる傾向がございます。  両論相まってこれからいい方向への一つの一里塚であってもらいたいと願うばかりでございます。  以上でございます。 ○富岡由紀夫君 今ちょっといろいろとグローバル化の中で話が、そういう国際競争力の分野にもお話しさせていただいておりますが、国際的な大きな金融の世界の問題として今ヘッジファンドの問題もあろうかというふうに思っております。  先ほどG8の蔵相会談で尾身財務大臣も出席されたというふうに新聞では報道されておりますけれども、私は、この中でドイツが非常にヘッジファンドの規制に対して熱心に議論されたというふうに伺っておりますけれども、それに対して、イギリス、アメリカ等に追随して日本はやや消極的な対応の発言を議論されたというふうに伺っておりますけれども、このヘッジファンドに対する取組についてG8でどういった議論をされたのか、簡単で簡潔にちょっとお話しいただければと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) 先般、G8のポツダムで行われました財務大臣会合でありますが、首脳会議、サミットの準備会合という意味も含めて行われました。  ヘッジファンドにつきましては、自由経済のメカニズムの促進に貢献をしているというプラス面の評価がありました反面、潜在的なリスクが複雑化して大きな問題を引き起こす可能性があるという共通の問題意識から議論が行われまして、このヘッジファンドに対する規制の在り方につきましては、当初は、主としてドイツから、コード・オブ・コンダクトといいますが、業界による行動規範を作るべきであるというような提案がありました。これにつきましては、実質的な規制強化になるという意見が、私どもだけではなしにアメリカ、イギリス、フランスその他ほとんどほかの国が大部分同じ意見でございましたが、いろいろ議論、相談をいたしまして、最終的には、取引金融機関、いわゆるカウンターパーティーといっておりますが、によりますリスク管理あるいは業界団体による実務慣行の見直しを通じて問題を未然に防止する方向でいくべきであるという点で意見が一致したわけであります。  ヘッジファンドの実態につきましては、今回の会合におきまして、各国、国際機関の金融の専門家の集まりであります金融安定化フォーラムから実態調査の報告がございまして、その報告の中では、ヘッジファンドの取引が拡大する中で、金融機関のリスク管理の強化を通じて金融システム全体のリスクを軽減していること、他方、商品内容が複雑化したことで、特に市場流動性の低い商品のリスク評価が困難になっているという面もあること等が指摘されまして、これに基づく提言が行われ、その後の進捗を本年十月のこの金融安定化フォーラムからもう一度報告をしていただくということになりました。  さらに、私の方から、ヘッジファンドの取引の相手方である金融機関等への資金取引の集中が見られる中で、主な取引の相手方と大臣レベルで非公式な意見交換を行ったらどうかという提案もいたしまして、各国の賛同をいただいたところでございます。  今後とも、ヘッジファンドの問題につきましては適宜適切に議論を行って対応してまいりたいと考えているわけでございますが、この規制をしないことが消極的だとか後ろ向きであるという考え方ではなく、ヘッジファンドの役割を積極的な意味においても評価しつつ、必要な弊害は除去していくというのが大方のコンセンサスであったというふうに考えております。 ○富岡由紀夫君 アメリカとかイギリスがヘッジファンドの規制に反対するというのは分かると思うんですね、理解できるんですが。というのは、そういったところはヘッジファンドで逆に攻撃している立場ですから、もうけているところですから、そこはもう規制されちゃ困るという議論になるのは当然だと思います。ドイツは、逆にそれでやられて痛い目に遭っていますから、もっと規制を強化しようということでいろいろ今回そういう提案をなさったんだと思います。  日本はどっちなんでしょうかね。私はやられているんじゃないかと思うんですけど、何でやられている人が勝っているアメリカとかイギリスに追随しなくちゃいけないのか、私は非常に疑問だと思います。本来であれば、私はこの議論は、山本金融担当大臣にG8に出席していただいて御議論いただいた方が良かったのかなと私は思っておりますけれども、金融担当大臣、どうでしょうか。 ○国務大臣(山本有二君) ヘッジファンドについての議論は、アメリカのSECやFRBとも日本は事細かく議論を重ねてきております。規制当局の方から申し上げれば、できるだけ市場の健全性を確保したいという考え方の下に規制に偏りがちな議論が多いわけでございます。ただ、FRBの高官によりますと、やはりプライベートファンドは一般投資家の自由度と同じように完全自由でなければならないし、ヘッジファンドにおきましても、システムリスクがない以上市場の中では受け入れていくべきであるという考え方が主であるわけでございます。  そのようなことを考えましたときに、ドイツにおけるG8の尾身大臣の議論というのは大変成果のある議論でございまして、現在の世界的なグローバリズムの中のヘッジファンドの存在の在り方についての警鐘が鳴らされたことは非常にいいことであろうと思います。  また、富岡委員御指摘のように、ドイツにおけるフランクフルト市場におけるヘッジファンドでの買収劇につきましての懸念ということはドイツ特有のものでございましょうし、また、日本におけるMアンドAの企業におけるこの現在の展開についての懸念ということにおきましても日本的特徴であろうと思います。  しかし、今後の道行きを考えましたときには、やはりそこには利用者保護の観点、一般投資家保護の観点がまず第一番にあるべきだというのが日本の考え方の第一番でございますし、今後、流動性と効率化というヘッジファンドの大変なメリットを日本型でどう生かしていくかということを模索していきたいと考えておる次第でございます。 ○富岡由紀夫君 今、山本大臣おっしゃった利用者保護というのは、投資家という意味ですよね。 ○国務大臣(山本有二君) 投資家というより一般投資家です。 ○富岡由紀夫君 一般投資家という意味ですね。  一般投資家のそういったところはしっかりと支えていかないといけないんですけれども、私が一番懸念しているのは、一般投資家じゃなくて、個別のたくさん資産を持っているごく少数の投資家ですね。例えば、ちょっとこの後、足利銀行のお話もさせていただこうと思っておりますが、新生銀行とか、あの長銀がやられたり日債銀がやられたりしたときに、外国のこのファンドを組成されたのは、本当にごく限られた人たちだけがお金を出して、それで莫大な利益を上げて売り逃げしていっちゃったと。日本の税金も八兆円も新生銀行に使ったり、そして新日債銀のあおぞら銀行でしたか、には五兆円ぐらい使ったりして、もう日本の国民の税金を使ったのにもかかわらず、外国に非常に、何というんですか、おいしい思いだけ、おいしいところだけさらわれてしまったというようなことがございますけれども、そういうやり方というのはやはりある程度国益という観点から私は規制すべきだと思っているんですけれども、こういったことを踏まえてどういうふうにお考えなのかを教えていただきたいと思います。  そして、今、足利銀行が秋には受皿が決まると言われておりますけれども、そういったことのないように、是非そういったハゲタカファンド的なところだけには、やっぱり地域経済を考えたときにそういったところに売り渡したときは非常に心配がありますから、そういったことも含めて、今どういうふうにお考えを持っていらっしゃるのか、金融担当大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(山本有二君) 日本における長銀、日債銀等々における富の喪失というような問題につきましては、これは国家的な問題として取り上げるべきだという先生の御指摘は大変貴重な御意見であろうと思っております。  ヘッジファンドにつきましての、そうした意味で少し拡大して考えていけば、短期的な投資、しかもその投資から投機というような流れというものは是非ともこれは食い止めるべきであろうというように考えております。しかし、その手法ということになりますれば、今後市場への過度な規制という面との相まった調和が必要でございますので、研究をしていく必要があろうと思います。  また、今後、我が国として考えるべきは、各金融機関の企業収益力の問題も考えていかなければなりません。大体、外資系と言われるインベストメントバンクにおける収益が二〇%を超えていると。日本市場の中でそうした収益を上げられるに比して、日本企業等々についての収益力が低いという面が我が国の特徴でございます。特に、不良債権の処理に当たっての時価評価、これが事業計画の将来的な見込みを含んでいないという点に私は今後の課題があるように思っている次第でございます。  今後、こうしたことを研究しながら、伍して闘える日本の金融体制にしていかなければならないし、またそうしたことにおきます富岡委員の貴重な御意見もちょうだいしたいというように考えるところでございます。 ○富岡由紀夫君 ありがとうございます。  ちょっと時間が迫っておりますので、先ほど福井総裁に質問するのがちょっと漏れてしまいましたので、ちょっと戻って質問させていただきたいと思いますが。  日銀は、将来のいろんな物価の見通しというか予測を非常に重要視されて金融政策運営をされていらっしゃるというふうに私は思っているんですけれども、先般、OECDのところでそれに対していろいろと注文というかコメントがございました。新聞によると、日本の日銀は一段の利上げはまだ国内需要に悪影響を及ぼすのでやめた方がいいんじゃないかと。そして、実際の利上げはそういった予測、日銀が重要視しているそういった予測で動くより、デフレが実際に脱却したという結果を見てそれから動くべきだというふうに、日本に対して、日本の日銀に対してそういうコメントをされておりますけれども、これに対して、福井総裁のこれに対する、コメントに対するお考えをちょっと、反論というかお考えをお聞かせいただければというふうに思います。 ○参考人(福井俊彦君) OECDの方々とは日本銀行もいろんな形で対話を続けてきておりまして、基本的な認識に非常に大きなそごがあるというふうには思っておりません。先般のOECDのレポートは表現的にややそういうふうな形になっておりますけれども、現在各国中央銀行、少なくとも先進国の中央銀行の金融政策の基本的なスタンスというのは、足下の物価だけを見ていて金融政策の責任が全うできると、こういうふうに考えている中央銀行は一行もございません。  やはり先行きの経済をどういうふうに深く読み、そして将来につながる金融政策をするかという点がむしろ共通のスタンドポイントになっていると、こういうふうに認識しておりまして、日本銀行の今取っておりますスタンスは、足下の物価を無視するということは一度も申し上げたことはございません。現在の物価を更に将来に引き延ばしてどういうパスが想定できるかと、その望ましい蓋然性のシナリオを持つことができるんであれば、それを実現できるような金融政策を必要なタイミングでやっていくということでありまして、将来につなげる立体的な枠組みという点で御理解をいただかなければならないと、こういうふうに思っています。 ○富岡由紀夫君 ちょっと駆け足になってしまって大変恐縮なんですけれども、事前に御連絡させていただいておりました財務省の天下り人事について、ちょっとお伺いしたいと思います。  東証の自主規制機関の理事長に財務省の元次官の林さんという方が決定されたというふうに新聞では報道されておりますけれども、これは今政府で進めている、公務員制度改革をやっているわけですけれども、これに逆行するんじゃないかというふうに思っております。まさしく公務員制度改革を骨抜きにしてしまうような内容に私は受け止めたんですけれども、これについて財務大臣はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) 東証の問題、本件につきましては、東京証券取引所が株式会社として自らの御判断で自主規制法人の理事長として適切な人物を選定されたものと考えております。本件に関連して財務省から何らかの関与があったとの御指摘がありますが、そのようなことは行っていないと聞いております。 ○富岡由紀夫君 そのほかにも、全国地方銀行協会の会長に元大蔵事務次官の小川さんという方も就任するらしいと。何か今駆け込み的に財務省の天下りが進められているんじゃないかというふうに新聞では報道をされております。  また、日本政策投資銀行、今日お話出ました、の次期総裁、そしてあと新政策金融機関であります、今議論されている株式会社日本政策金融公庫のトップには天下りはしないということでいろいろな委員会の中で発言をされておりますけれども、ちょっと心配なのは、株式会社日本政策金融公庫の中身なんですけれども、これは旧JBICというか、JBICとか国民生活金融公庫、それぞれ別勘定で管理されるというふうにいろいろと説明を受けておりますけれども、その中の全体のトップは天下りはしないと言っていますけれども、そういったJBICのトップ若しくは国民生活金融公庫のトップに今までと同じように財務省の次官とかそれに準ずるような方がまた天下りするんじゃないかという懸念があるんです、心配しているんですけれども、そういったことはないというふうに考えてよろしいんでしょうか、尾身財務大臣にお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) ちょっと誤解があるように思いますが、私どもは、適材適所であるということで、一定の公職にあった者が自動的にそのポストに就くというようなことは絶対にありませんと、こういうふうに申し上げているわけでございまして。  私も客観的に見ておりまして、その経歴が、例えば昔公務員であったからそういう人は一切就職をしてはいけないというようなことは必ずしも言えない。やはり基本的にその組織の代表として適切であるということをつかさつかさの方が判断をして、そのつかさつかさというのは本当に権限のある人が、決定権のある人が判断をして適切な結論を出していただくことがいいと私は思っておりまして、これについて、何というか、逆に、かつて公務員であった人をそういうところに一切使うのはいけないというふうに先入観念的に決めるのはどうかなというふうに思っております。  ただ、昔このポストに就いていたから自動的にそこに行くのが当然だというような形の考え方は私どもは一切持っておりません。 ○富岡由紀夫君 時間になりましたので質問を終わりますけれども、今の適材適所というところで、その林元事務次官は問題だというのは、実際には、証券局に勤めたんですけれども、それはリリーフ的な役割で本当に短期間だけやったということで、本当にそういった証券市場に詳しいのかどうかということが、新聞なんかを見ますと全くそういったところの経験がないんじゃないかといった懸念があったものですから質問させていただきました。適材じゃないんじゃないかなという懸念の下に質問させていただいていることです。ポストがあるから必ずやったということ、駄目だということじゃなくて、そういう意味合いでございます。  ちょっと、先ほど回答していただけなかったんですけれども、株式会社日本政策金融公庫のそういった各部門ごとのトップに天下りはしないということを是非言明していただきたいと思います。先ほどちょっと御回答の中でなかったものですから。その点を確認して、私の質問を終わりたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) この東京証券取引所の件でありますが、これについて、それぞれの団体が自らの御判断で決定されるべきものであるというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、公務員が再就職をしたことにより行政がゆがめられてはならないということは当然のことでございまして、今後とも厳正かつ公正な行政が行われるよう十分に配意してまいりたいと思っております。 ○富岡由紀夫君 済みません、政策金融公庫のトップ人事についてお伺いしたいと思います。 ○国務大臣(尾身幸次君) 先ほども申し上げましたように、個々の団体等についての人事はそれぞれの責任者が責任を持って決めるべきものでございまして、私どもとしては一定の公職に就いた者が自動的にその職に就くというような考え方は持っておりませんし、これは政府としてそういう考え方を決めているところでございます。  したがいまして、だれがどうのこうのというようなことを今ここで申し上げるわけにはいかないということだけは御理解をいただきたいと思います。 ○富岡由紀夫君 終わります。