166-参-本会議-11号 平成19年03月23日 平成十九年三月二十三日(金曜日)    午前十時二分開議     ━━━━━━━━━━━━━ ○議事日程 第十一号   平成十九年三月二十三日    午前十時開議  第一 地方税法の一部を改正する法律案(内閣   提出、衆議院送付)  第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案   (内閣提出、衆議院送付)  第三 国際観光文化都市の整備のための財政上   の措置等に関する法律の一部を改正する法律   案(衆議院提出)  第四 平成十九年度における財政運営のための   公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提   出、衆議院送付)  第五 所得税法等の一部を改正する法律案(内   閣提出、衆議院送付)     ━━━━━━━━━━━━━ ○本日の会議に付した案件  一、雇用保険法等の一部を改正する法律案(趣   旨説明)  以下 議事日程のとおり      ─────・───── ○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫でございます。  私は、民主党・新緑風会を代表して、平成十九年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案に対し、反対する立場で討論を行います。  まず、特例公債法案に反対する理由を申し上げます。  第一に、この法案が将来世代、すなわち私たちの子や孫の世代に赤字のツケを回す法案であることであります。私たちの子や孫は、増税や社会保険料の負担増といった大きな負の遺産を背負わされているのです。  国と地方の借金は、財投債、政府短期証券等を含めると、平成十九年度末には千五十八兆円になります。国民一人当たり約八百三十万円の残高になります。赤字国債はこれからも発行が続けられ、借金はこれからも増加するのに対して、少子化により人口が減少しますので、一人当たりの借金残高は確実に増加することが見込まれます。  政府は、財政赤字は問題である、先進諸国と比較してもGDPに対する債務残高比率は最悪である、増税は避けて通れないと声高に叫んでいます。確かにそのとおりです。しかし、ちょっと待っていただきたい。このような危機的財政赤字の状況をつくったのはだれなのですか。自然に財政赤字はできたのでしょうか。  この赤字をつくったのはほかならない政府そのものであります。無駄な予算の使い方はなかったのでしょうか。私は、まずこの責任を明確にすべきだと考えます。政策の失敗を反省していただきたいと思います。二度とこのような失敗の歴史を繰り返さないよう、原因をしっかりと究明し、国民に対し説明責任を果たすべきであります。政府のつくった赤字のツケを国民に増税や社会保険料の負担増といった形で押し付ける前に、是非お願い申し上げます。  第二に、今回の法案においても九百六十七億円もの年金保険料を社会保険庁の事務費に流用しようとしていることであります。  これは、年金保険料は年金給付にしか充当しないというこれまでの原則を逸脱するものであります。この年金保険料の事務費流用は、平成十年度より税収不足を理由に始められましたが、政府は景気の回復による税収の増加をうたうのであれば、早急に税金で負担するという本来の原則に戻すべきであります。  次に、所得税法等の改正案に反対する理由を申し上げます。  第一に、今回の法案が格差是正に何も寄与しないという点であります。  三月二十日の財政金融委員会での私の質問に対し、財務大臣ははっきりとそう答弁されました。これだけの格差が問題になっているときに、格差是正策を税制改正に織り込まなくてよいのでしょうか。例えば、企業間格差についてはどうでしょうか。大企業の一部は最高収益を上げる一方で、中小企業や地方の企業は赤字に苦しんでおります。こうした大企業は、収益を上げるために下請企業に対する発注価格をたたき、部品や原料の単価をたたき、従業員を解雇し、正規社員から非正規社員へ切り替え、別会社化等による給与体系の切替え等を実施しております。  こうした中小企業いじめ、従業員いじめによって上げた最高収益は、役員報酬や株主への配当として支払われております。二〇〇一年度と比較して二〇〇五年度は、雇用者報酬が三%減少しているのに対し、大企業の役員報酬は八八%の増加、配当金は一七七%の増加となっております。ワーキングプアや中小企業の犠牲により、大企業はいわゆる国際競争力を高めているのです。こういうことで得られる国際競争力は美しいものと言えるでしょうか。大多数の国民の犠牲によって得られる一部大企業の収益、国際競争力は美しいと自慢できるものなのでしょうか。  政府は、法人税率の更なる引下げも検討しているようですが、そもそも法人税率が引き下げられて喜ぶ企業はどれだけあるでしょうか。言うまでもなく、法人税は利益を上げている黒字企業が課せられる税でございますが、黒字企業は全体の約三割しかありません。七割は法人税を払いたくとも払えない赤字企業なのです。勝ち組企業だけを優遇する法人税率の引下げも美しいと威張って言えるものではないと思いますが、どうでしょうか。  また、個人の所得格差、資産格差の問題もあります。定率減税の導入に合わせ、平成十一年度改正で高額所得者の所得税の累進税率の引下げが実施されました。累進税率が五〇%と四〇%の部分が三七%になり、それぞれ八万人、十九万人の人がこの減税の恩恵にあずかることができました。しかし、これらの人の国民全体に対する比率はわずかに〇・〇六%、〇・一五%となっており、ごく一部の高額所得者だけが喜んだにすぎません。大多数の一般国民には関係がなかったのです。定率減税は廃止されましたが、この所得税の累進税率は戻されませんでした。  資産格差を是正する機能のある相続税も同様です。平成十五年度改正で高額相続資産に対する相続税率が七〇%から五〇%に引き下げられました。しかし、この恩恵にあずかれる人は年間わずか五十人程度しかおらず、国民全体に対する比率は〇・〇〇〇〇四%であります。  このように、所得再分配機能を持つ所得税の累進税率、資産再分配機能を持つ相続税の累進税率は弱められております。これでは、所得格差、資産格差は拡大する一方であり、金持ち優遇と言うほかはありません。この税不足を補うために低所得者層に相対的に負担の大きい消費税を引き上げることだけは御勘弁いただきたいものであります。  第二に、個別制度にも問題点が散見していることであります。  再チャレンジ支援寄附金税制として、障害者や母子家庭の母を雇用する企業に対する寄附金の税制上の優遇を掲げておりますが、どうして障害者や母子家庭の母が再チャレンジなのか。障害者や母子家庭の母は失敗した人とでも言うのでしょうか。障害者や母子家庭の母に対する税制上の支援は必要ですが、これを再チャレンジと言うのは不適切な表現と言わざるを得ません。  また、一人オーナー会社の役員給与の損金算入制限措置の中途半端な見直しをなぜ今回行うのでしょうか。我が党は、そもそも不公平な税制であるこの役員給与の損金算入制限措置の撤廃を求めております。これに対して、政府・与党の方針は極めて場当たり的な対応であり、税制の抜本的見直しの議論を平成十八年度決算の実績を踏まえ秋口から行うという政府の方針とも矛盾しております。  以上、二法案に反対する理由を申し述べましたが、格差の問題は国内だけの問題ではありません。一部の人々への富の集中は世界規模で生じております。経済市場がボーダーレス化している現在、世界的な富の集中、偏在は大きな問題を生じさせております。一部資産家がヘッジファンド等を通じて敵対的企業買収を行ったり、莫大な資金を使って為替、金利、株式等のグローバル市場での攪乱を行った例もあります。  政府に対しては、是非この問題をG7、G8等でも議論していただきたいということを要望いたしまして、私の討論を終了いたします。(拍手)